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column_2522025.10.20

NEXT GIGAとは?文部科学省が推進するGIGAスクール構想第2期の全貌

著者:情シスマン
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2019年に開始されたGIGAスクール構想は、全国の小中学校への「1人1台端末」の導入をほぼ実現し、日本の教育現場に大きな変革をもたらしました。

しかし、端末の利活用が進む一方で、「故障端末の増加やバッテリーの耐用年数超過」「地域や学校間での活用格差」「ネットワークの遅延や不具合」といった新たな課題が浮上しています。

これらの課題を克服し、教育の質をさらに向上させる次の段階が「NEXT GIGA(ネクストギガ)」と通称されている取り組みです。これはGIGAスクール構想の第2期と位置づけられ、単なる「環境整備」から「活用の深化」へと焦点を移す重要な取り組みとなります。

本コラムでは、GIGAスクール構想第2期であるNEXT GIGAの概要や第1期との違い、そして文部科学省が進める具体的な取り組みについて、分かりやすく解説します。

<この記事でわかる内容>

  • NEXT GIGAとはなにか
  • NEXT GIGAとGIGAスクール構想(第1期)の違い
  • 文部科学省が打ち出す補助金や支援策の全体像
  • 今から準備すべき5つの重要ポイント

NEXT GIGAとは?GIGAスクール構想との違い

NEXT GIGA(ネクストギガ)とは、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の第2期を指す言葉です。文部科学省が正式に定めた名称ではありませんが、「GIGA第2期」や「セカンドGIGA」などとともに広く使われています。

GIGAスクール構想の第1期では、「1人1台端末」と「高速大容量通信ネットワークの整備」というハードウェア基盤の構築が重視されました。これに対し、NEXT GIGAは、その基盤を最大限に活用し、教育の質的向上と持続的な運用を目指すものです。

GIGAスクール構想(第1期)

NEXT GIGA(第2期)

目的

ICT環境の基盤整備

整備されたICT環境の本格的な利活用と質の向上

主な取り組み

  • 1人1台端末の配布
  • 校内高速ネットワークの整備
  • 端末の計画的な更新(リプレイス)
  • ネットワーク環境のさらなる強化
  • 教育データの利活用
  • 校務DXの推進

期間

2019年度〜

2024年度〜2028年度の5年間

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なぜNEXT GIGAが必要なのか?第1期で浮き彫りになった4つの課題

NEXT GIGAの目的は、第1期で明らかになった以下4つの課題を解決することにあります。

  • 端末の老朽化とリプレイスの必要性
  • 授業を妨げる「ネットワークの不安定さ」
  • 地域・学校間での活用格差の拡大
  • 教職員の業務負担の増大

端末の老朽化とリプレイスの必要性

GIGAスクール構想の第1期で導入された端末は、耐用年数(4〜5年)が過ぎ、バッテリーの劣化や故障のリスクが高まっています。学習環境を維持するためには、これらの端末の更新が不可欠です。また、現在の端末では対応が難しい新たなデジタルコンテンツやAI活用のニーズにも応える必要があります。

授業を妨げる「ネットワークの不安定さ」

端末が日常的に使われるようになると、アクセス集中による通信速度の低下や接続切断が問題となりました。特に、動画の一斉視聴やクラウドへのファイルアップロードを伴う授業では、ネットワークの不安定さが学習の大きな妨げとなっています。そのため、高速大容量の通信環境を常に維持するための対策が求められています。

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地域・学校間での活用格差の拡大

端末整備は進んだものの、教員のICT活用指導力や、校内ネットワークの速度・安定性の格差が原因で、学校や自治体間での学習効果に差が生じています。NEXT GIGAでは、この活用格差の解消を重要課題のひとつとしています。

教職員の業務負担の増大

端末導入後、トラブル対応やメンテナンス、新しいデジタル教材の準備などが加わり、教職員の業務が増加傾向にあります。教員が指導に集中できるよう、デジタル技術を活用して校務を効率化(校務DX)し、働き方改革を進めることが求められています。

文部科学省が推進するNEXT GIGAの4つの柱

文部科学省は、NEXT GIGAの実現に向けて具体的な取り組みを進めています。特に重要な4つの柱を紹介します。

  • 1人1台端末の計画的な更新(リプレイス)
  • 高速で安定したネットワーク環境の確保
  • 教育DXの推進と先端技術の活用
  • ICT支援体制の強化と人材育成

1人1台端末の計画的な更新(リプレイス)

GIGAスクール構想の第1期で導入された端末は、4〜5年程度でバッテリーの耐用年数を迎えるなど、故障や劣化が問題となり、計画的な更新が求められています。NEXT GIGAでは、この端末更新を単なる機器の買い替えと捉えず、教育効果をさらに高めるための機能強化の機会と位置づけています。

端末更新費用の補助

端末1台あたり5.5万円を上限に、国が費用の3分の2を補助しています。予備機(児童生徒数の15%以内)も補助対象です。

また、第1期では自治体ごとに調達していましたが、第2期では原則として都道府県単位での共同調達に変更されました。これにより、市町村の事務負担の軽減、スケールメリットによるコスト削減、同形式端末の利用によるノウハウ共有などが期待されています。

端末スペックの高度化

文部科学省は2024年4月に「学習者用コンピュータ最低スペック基準」を公開し、デジタル教科書の本格利用やAI活用を見据え、タッチペンを必須とするなど、最低スペック基準が引き上げられました。

OS

メモリ

ストレージ

主な変更点

Windows OS

8GB以上 (4GBも許容)

64GB以上

メモリ増強、タッチペン必須

ChromeOS

4GB以上

32GB以上

タッチペン必須

iPadOS

-

64GB以上

タッチペン必須

予備機の重要性

NEXT GIGAでは、児童生徒の学びを止めないために十分な台数の予備機を整備することが重要視されています。故障時に速やかに代替機を提供できるよう、MDM(モバイルデバイス管理)は予備機を含む全端末に導入する必要があります。

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高速で安定したネットワーク環境の確保

「授業中に動画が止まる」「全員で同時にアクセスできない」といったネットワークの問題は、ICT活用の大きな障壁です。この課題を解決するため、文部科学省は以下の事業を推進しています。

ネットワークアセスメントの実施促進

専門業者によるネットワークの現状分析・診断(アセスメント)を推奨し、その費用の一部(校の事業費に対し3分の1/最大100万)を補助しています。アセスメントにより、通信のボトルネックを特定し、効果的な改善策を講じることが可能になります。

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教育DXの推進と先端技術の活用

NEXT GIGAは、ハードウェアの活用からさらに一歩進んで、データと先端技術で教育の質の向上を目指します。

具体的には、クラウドベースの校務支援システムを導入し、教職員の働き方改革を推進します。また、生成AIを校務に活用する実証研究をセキュアな環境で実施し、全国展開に向けた実践例の創出にも取り組んでいます。

さらに、全国の児童生徒が利用できる公的なCBTプラットフォーム「MEXCBT(メクビット)」の機能拡充を進め、全国学力調査などでの活用を促進することで、教育の基盤的ツールの整備・活用を図ります。

※CBTプラットフォームとは、コンピューターを用いた試験(CBT)の実施・運営に必要なシステム基盤です。問題作成から出題、自動採点、結果分析までを一貫してデジタルで行うことで、試験業務の効率化と、個別最適な学びを実現するためのデータ活用を可能にします。

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ICT支援体制の強化と人材育成

教員がICT活用に専念できるよう、サポート体制の強化も重要な取り組みです。

GIGAスクール運営支援センター整備事業

国は、「GIGAスクール運営支援センター」の整備を支援しています。これは、ヘルプデスク運営やネットワークトラブル対応など、学校のICT運用を広範囲にわたってサポートするものです。

この支援を受けるには、都道府県が管轄する市町村と連携して取り組むことが必須条件となります。また、民間事業者への委託費用の一部(補助率3分の1)が補助対象となります。

リーディングDXスクール事業

この事業は、全国の学校でICTが日常的に活用されることを目指し、効果的な実践事例を生み出し、それを他の学校にも広めていくものです。指定校の中には生成AIの活用を研究する「AIパイロット校」も設けられており、先進的な事例の創出が期待されています。

NEXT GIGAで成功するための5つのポイント

NEXT GIGAの各種支援策を最大限に活用し、教育DXを円滑に進めるには、教育委員会や学校現場が早期に準備を進めることが重要です。ここでは、特に重要な5つのポイントについて解説します。

  • 端末更新計画の策定
  • ネットワークアセスメントの実施
  • 都道府県との連携
  • サポート体制の見直しと強化
  • セキュリティ対策の見直しと強化

端末更新計画の策定

第1期で導入された端末は、バッテリーの耐用年数が迫るなど、更新時期を迎えています。自治体内の端末の導入状況や故障率を把握し、いつ、どのくらいの台数を更新するのか、具体的な計画を立てることが重要です。

ネットワークアセスメントの実施

「授業で動画が止まる」といったネットワークの不具合は、ICT活用の最大の阻害要因のひとつです。まずは専門家による現状把握(ネットワークアセスメント)から始めることが、効果的な改善の第一歩です。国による補助事業も設けられているため、これを活用し、自校・自地域の課題を明確にしましょう。

都道府県との連携

端末更新の補助は、都道府県に設置される基金を通じて交付され、都道府県を中心とした共同調達が推進されます。自治体単独ではなく、都道府県の方針やスケジュールを早期に確認し、連携体制を構築することが、事務負担の軽減やコスト削減につながります。

サポート体制の見直しと強化

教員が安心してICTを授業で活用するためには、それを支えるサポート体制が欠かせません。ヘルプデスクの運営などを広域的に支援する「GIGAスクール運営支援センター」の枠組みを活用したり、ICT支援員や教職員への研修を計画的に実施したりすることで、新しい環境を最大限に活かすことができます。

セキュリティ対策の見直しと強化

クラウドサービスの本格活用や校務DXの推進に伴い、情報セキュリティ対策の高度化は重要な基盤となります。この対策については、次章で詳しく解説します。

NEXT GIGAを支える強固なセキュリティ基盤の確立

現状の課題|境界防御型からの転換とポリシー策定の遅れ

GIGAスクール構想の推進により、教育現場ではクラウドサービスの利用が本格化しました。これにより、従来の境界防御型セキュリティから、強固なアクセス制御を前提としたセキュリティ対策への移行が求められています。

しかし、文部科学省が2025年3月に公開した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」では、情報セキュリティの基盤となる独自ポリシーの策定割合が、2024年度時点で約5割にとどまっていると指摘されています。

強化策|ゼロトラストに基づく「強固なアクセス制御」の実現

新たな脅威に対応するため、文部科学省は「強固なアクセス制御」による対策を推進しています。これは、校内外からのあらゆるアクセスを検証する「ゼロトラスト」の考え方とも整合します。

「強固なアクセス制御」とは、多要素認証による利用者認証や端末認証、端末・サーバ・通信の監視・制御などを組み合わせたセキュリティ対策を指します。特に、児童生徒の成績情報や指導に関する記録などの情報資産をクラウド上で取り扱う際には、多要素認証(MFA)を含む強固なアクセス制御による対策を講じることが必須とされています。

参考:文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン

ゼロトラストセキュリティとは?仕組みやメリットについて解説
場所を選ばずに社内データにアクセスできるのは便利な一方、セキュリティ面のリスクが懸念されます。ここでは、新しいセキュリティモデルとして注目されてきた「ゼロトラストセキュリティ」の考え方、メリット・デメリットなどについて説明します。
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NEXT GIGAはUSEN ICT Solutionsへ

情シスマンを運営するUSEN ICT Solutionsは法人向けICTソリューション「USEN GATE 02」を提供しており、NEXT GIGAで求められる高速インターネット回線やネットワークアセスメント、セキュリティサービスなどを通じて、教育現場のICT環境整備を支援しています。

特に、「USEN GATE 02 プレミアインターネット」は、光ファイバーを複数ユーザーで共有する「共有型」とは異なり、1本の光ファイバーをお客様ごとにダイレクトに提供する「専有型」のインターネット回線サービスです。これにより、他のユーザーの影響を受けにくく、アクセス集中による通信速度の低下や接続切断といったGIGAスクール構想で明らかになった課題を解決し、快適で安定したインターネット環境の構築に貢献します。

プレミアインターネットは、教育現場の課題解決に資するソリューションとして、デジタル庁の「教育DXサービスマップ(実証ベータ版)」にも掲載されています。

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まとめ

NEXT GIGAは、単なる端末の買い替えではなく、これまでのICT環境を土台に、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させ、教育の質を飛躍的に向上させるための重要な国家戦略です。

文部科学省は、「端末更新」「ネットワーク改善」「教育DX推進」「支援体制強化」の4つの柱で、自治体や学校を後押ししています。国の動きを的確に捉え、計画的に準備を進めることが、NEXT GIGA成功の鍵となるでしょう。

「授業中に通信が遅くなる」「ネットワークアセスメントを実施したい」「セキュリティに不安がある」といった方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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※本記事及び当社サービスは、GIGAスクール構想第2期への対応を保証するものではありません。

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