輻輳とは?意味や原因、根本から解消するネットワーク対策を徹底解説
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「最近、社内のインターネットがやたらと遅い」
「Web会議中の音声や画像が頻繁に途切れる」
「ファイルのアップロードがなかなか終わらない」
近年、企業における通信トラブルは増加傾向にあります。LANケーブルやルーター、ハブといった社内ネットワーク機器の接続状況を確認しても異常が見当たらないにもかかわらず、「ネットが遅い」というクレーム対応に追われる情報システム担当者の方も多いのではないでしょうか。
社内設備に問題がないにもかかわらずインターネットが遅延する原因は、インターネット網のどこかで発生している「輻輳(ふくそう)」かもしれません。
そこで今回は、輻輳の基本的な意味から、輻輳が頻発する根本的な原因、そして自社のネットワーク遅延を解消し快適な通信環境を取り戻すための具体的な対策までを分かりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- 輻輳(ふくそう)の意味と、通信遅延を引き起こす仕組み
- 輻輳が頻発する原因
- 自社のネットワーク遅延が輻輳によるものかを見極めるチェック手順
- 輻輳を回避するための対策
輻輳とは?
輻輳とは、本来「多くのものが一箇所に寄り集まって混み合う様子」を指す言葉です。通信の世界においては、インターネット回線上の特定の箇所にトラフィック(データ流量)が集中し、処理しきれずに混雑・滞留してしまう現象を意味します。
この現象は、高速道路の渋滞に例えるとわかりやすくなります。アクセス回線を「高速道路」、トラフィックを「車」、そしてプロバイダーへ接続するためのポイントを「料金所」や「合流地点」だと想像してみてください。特定の時間帯に多くの車(データ)が一斉に料金所に向かえば、渋滞(通信の滞留)が発生します。これが、インターネット網で起こっている輻輳の正体です。

輻輳がもたらす企業への悪影響
輻輳は、発生すると企業活動に悪影響を及ぼします。具体的には、ネットワーク内で以下のような連鎖的な問題を引き起こします。
ネットワーク機器の処理速度低下(キューイング)
ルーターなどのネットワーク機器には、処理できるデータの許容量(キャパシティ)が決まっています。キャパシティを超えるデータが流れ込むと、処理が追いつかずにバッファーと呼ばれる待機所にデータ(パケット)がたまっていきます。この処理待ちの状態(キューイング)が長引くことで、通信の遅延が引き起こされます。
パケットロスの発生と雪だるま式の悪循環
さらにデータが押し寄せ、待機所であるバッファーにも収まりきらなくなると、あふれたデータは破棄されてしまいます(パケットロス)。通信の仕組み上、データが正常に相手に届かなかった場合、システムは「届くまで自動的に同じデータを再送信し続ける」という動作を行います。その結果、未処理のアクセスが残っているところに再送信のデータが次々と上乗せされ、トラフィックが雪だるま式に膨れ上がるという悪循環に陥ってしまいます。
一度このような輻輳状態に陥ると、ユーザー側が一時的に利用を控えたとしても、すぐには解消されません。Web会議中に音声や映像が途切れる、ファイルのアップロードが終わらない、タイムアウトでシステムから強制切断されるといったトラブルが頻発し、クラウドサービスに依存する現代の業務において多大な支障をきたすことになります。
輻輳が起こる原因
輻輳が発生しやすくなっている背景には、通信環境を取り巻く現代ならではの理由があります。ここでは、輻輳を引き起こす3つの主な原因を解説します。
- データ通信量(トラフィック)の増加
- POI(網終端装置)へのアクセス過多
- 共有型回線による影響と帯域不足
データ通信量(トラフィック)の増加
輻輳の最大の原因は、社会全体でデータ通信量(トラフィック)が増加していることです。
近年、企業ではクラウドサービスの利用や、Web会議・オンライン商談が主流となりました。また、個人利用においても YouTube や Netflix などの高画質な動画コンテンツやオンラインゲームの普及が進んでいます。
このように、扱うデータ容量が増大した結果、インターネット網のトラフィックが急増し、このデータ流通量の肥大化がインターネットインフラを圧迫しています。
POI(網終端装置)へのアクセス過多
POIとは、インターネットに出る前のアクセス回線網と、各プロバイダー(ISP)事業者網を接続するための相互接続点(網終端装置)のことです。従来から広く利用されている「PPPoE接続」という方式では、このPOIでユーザーIDやパスワードによる認証(PPPoE認証)を行う仕組みになっています。特定の時間帯にこのPOIへアクセスが集中すると、許容量を超えて処理が滞り、ボトルネックとなって大量のデータが滞留してしまいます。
共有型回線による影響と帯域不足
国内で多く利用されているフレッツ光や光コラボサービスなどは、近隣のユーザー(企業や一般家庭)同士で1本の回線をシェアして利用する「共有型回線」です。安価に利用できるメリットがある反面、回線事業者網内で通信が分岐・集約される構造のため、同じ時間帯に他ユーザーが大きなデータを送受信していると、その集約箇所で輻輳が発生しやすくなります。
また、単に自社が契約しているインターネット回線の帯域が不足しているケースも考えられます。働き方改革やクラウド化によって業務で必要な通信量が増えているにもかかわらず、過去のプランのまま見直しをしていない場合、自社内の通信量だけでキャパシティオーバーを引き起こしている可能性もあります。
自社のネット遅延は輻輳?状況をチェックする3ステップ
社内のインターネットが遅いと感じた際、新しい回線を契約する前に、まずは原因が「社内LAN環境」にあるのか、それとも「インターネット網」にあるのかを切り分けることが重要です。ここでは、自社で実施できる初期調査の3ステップを解説します。
ステップ1|影響範囲の調査
まずは、通信の遅延を感じているのが自分だけなのか、特定のフロアなのか、あるいは会社全体(または支社も含めて)なのか、影響範囲を調査しましょう。
もし自分だけ、あるいは自分のデスク周辺の数名だけが遅いという場合は、PC端末自体の不調や、その島で使っている無線LANアクセスポイント、スイッチ(ハブ)などのローカルなネットワーク機器に問題がある可能性が高くなります。従業員にヒアリングを行い、影響範囲がどこまで及んでいるかを特定しましょう。
ステップ2|原因要素の調査
次に、どのような操作・条件のときに遅くなるのかを切り分けます。
たとえば「Microsoft 365 など、特定のクラウドサービス(システム)を使っているときだけ遅い」「無線LANに接続しているときだけ遅い」といったケースであれば、インターネット回線全体ではなく、そのシステムや無線機器側に問題があることが推測できます。 一方で、「午後から夕方にかけて毎日遅くなる」といった特定の時間帯に社内全体で遅延が発生する場合は、トラフィック集中による輻輳が起きている可能性が高いと言えます。

ステップ3|機器の再起動と通信事業者への問い合わせ
影響範囲が社内全体に及んでおり、特定のシステムの問題でもなさそうな場合は、社内ネットワークの大元となるONU(光回線終端装置)やメディアコンバーター、ルーターを再起動してみましょう。 再起動を試しても全く状況が改善しない場合、自社のLAN内ではなく、インターネット網(プロバイダーや回線網)の中で輻輳や障害が起こっている可能性が高いと判断できます。
インターネット網で起きてしまった輻輳は、企業側のLAN設定や機器の交換などでは解決が困難です。この段階まで来たら、契約している回線事業者やISP(プロバイダー)事業者に直接問い合わせてみましょう。

輻輳を回避し、遅延を解消するための対策
調査の結果、遅延の原因が自社のLAN環境ではなく「インターネット網(POIや回線の共有部)での輻輳」にあると判明した場合、企業側の機器交換や設定変更などで解消することはできません。根本的に解決するには、インターネットへの接続方式や回線そのものを見直す必要があります。 ここでは、具体的な3つの対策を解説します。
- 【個人・法人向け】PPPoE接続からIPoE接続に切り替える
- 【法人向け】専有型回線を導入する
- 【法人向け】インターネットブレイクアウト(ローカルブレイクアウト)の実施
【個人・法人向け】PPPoE接続からIPoE接続に切り替える
従来の「PPPoE接続」から、「IPoE接続」が可能なプロバイダーサービスへ切り替える方法です。
IPoE接続ではPPPoE認証が不要となるため、渋滞のボトルネックとなっている「POI(網終端装置)」を経由せずに直接インターネットへ接続できます。これによりPOIでの輻輳リスクから解放されます。
ただし、注意点もあります。IPoE接続は新しい通信規格であるIPv6にしか対応していないため、従来のIPv4のWebサイトやサービスにもアクセスできるよう、プロバイダー事業者に「IPv4 over IPv6」オプションを手配してもらう必要があります。また、アクセス回線が「共有型回線」のままである場合、回線分岐の集約箇所で発生する混雑(共有部の輻輳)のリスクは解消されない点も覚えておきましょう。

【法人向け】専有型回線を導入する
最も根本的な解決策となるのが、専有型回線の導入です。 フレッツ光などの共有型回線とは異なり、1本の光ファイバー回線を自社だけで専有するため、近隣の他ユーザーが大量のデータを送受信してもその影響を受けることがありません。時間帯による通信混雑が起こりにくく、常に安定した通信速度を維持できます。
回線とプロバイダーが一体となった回線であれば、PPPoE認証自体が不要となるため、POIでの輻輳も、共有部での輻輳も、両方を回避することが可能です。共有型回線に比べるとコストはかかりますが、クラウドサービスやWeb会議が必須となった現代の業務環境において、効果的な対策と言えます。

【法人向け】インターネットブレイクアウト(ローカルブレイクアウト)の実施
特定のクラウドサービス(Microsoft 365 や Zoomなど)の通信だけを、本社のセンター拠点やVPNを経由させず、各拠点から直接インターネットへ逃がす手法です。
従来の拠点間ネットワーク(WAN)では、すべての通信を一度本社やデータセンターに集約してからインターネットへ接続する集中型が一般的でした。しかし、クラウド利用が急増した現在、この集約ポイントが巨大なボトルネック(輻輳地点)となり得ます。SD-WANルーター等を用いて、特定のクラウド通信だけを各拠点から直接インターネットへ逃がすことで、全体のネットワーク負荷を軽減できます。


オフィスの通信環境を改善したいならUSEN ICT Solutionsへ
「USEN スピードテスト」「情シスマン」を運営するUSEN ICT Solutionsは、法人向けICTソリューション「USEN GATE 02」を提供しており、お客様の課題やご予算に合わせたインターネット接続サービスを幅広くラインナップしています。
専有型回線
最大上下10Gbpsのベストエフォート型から、通信帯域の一部を確保するギャランティ型まで、自社に最適なプランをお選びいただけます。


IPoEプロバイダーサービス
「まずは現在のフレッツ光回線をそのまま活かして、コストを抑えつつ通信遅延を解消したい」という方には、IPoE方式のISP(プロバイダー)サービスへの切り替えがおすすめです。
「フレッツ・アクセス(NC) IPoE」は、IPv4 over IPv6接続(MAP-E方式)に対応しており、IPoE接続の快適さを保ったまま、従来のIPv4を用いたWebサイトやクラウドサービスにも問題なくアクセスが可能です。

「フレッツ・アクセス(AN) v4 over v6」は、IPv4 over IPv6接続(DS-LITE方式)に対応しており、IPoE接続の快適さを保ったまま、従来のIPv4を用いたWebサイトやクラウドサービスにも問題なくアクセスが可能です。

「自社の業務に最適な帯域がわからない」「他社の回線と比較検討したい」といったお悩みやご不明点がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
オフィスのインターネット回線・輻輳対策のご相談はこちら
インターネット上のトラフィック量は、テレワークの普及や動画コンテンツ、各種クラウドサービスの業務利用の拡大に伴い、今後もさらに増加していくことが予想されます。
「ネットが遅い」というトラブルは、従業員の生産性を著しく低下させるだけでなく、社外とのWeb会議や商談にも悪影響を及ぼします。輻輳が起きて業務に深刻な支障が出てから慌てて回線を切り替えるのではなく、あらかじめ将来のトラフィック増を見越した、中長期的な視点でのインターネット接続サービス選びが重要です。

