【法人向け】クラウドバックアップとは?導入のメリット・デメリットや選び方を解説

現代のビジネスにおいて、データは企業の生命線とも言える重要な資産です。しかし、機器の故障や災害、人的ミスなど様々な要因でデータを失うリスクがあります。
また、最近はランサムウェアによる被害が急増しており、データを人質に取られて身代金を要求される事件が後を絶ちません。そこで注目されているのが、インターネット上にデータを安全に保管するクラウドバックアップです。
本記事では、初心者向けにクラウドバックアップの解説と、導入するメリット・デメリット、サービス選びのポイントを紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
<この記事でわかる内容>
- クラウドバックアップについて
- クラウドバックアップのメリット・デメリット
- クラウドバックアップの選び方
【初心者向け】クラウドバックアップとは?
クラウドバックアップとは、インターネットを通じて、自社のデータを外部のサーバーに保存する仕組みです。従来のように自社のサーバーやNAS、外付けのハードディスクに保存するのではなく、クラウドサービス事業者が管理する設備に預ける形でデータのバックアップを図ります。
万が一の際には、インターネット経由でいつでもデータを復元できます。銀行の貸金庫にお金を預けるように、大切なデータを安全な場所に保管してくれるサービスと考えると分かりやすいでしょう。
オンプレミスのバックアップとの違い
オンプレミスとは、自社内にサーバーなどを設置して運用する方法で、そこにバックアップをとるという方法もあります。クラウドバックアップとの大きな違いは、設備の所有や管理の責任がどちらにあるかという点です。
オンプレミスでは、機器の購入や設置、保守、電気代などすべて自社で負担する必要があります。一方、クラウドバックアップでは、これらの管理はすべて事業者が行うため、企業はその分も加味された費用を支払うことになります。

クラウドバックアップの種類
ひと口にクラウドバックアップと言っても、大きく以下のように分けられます。
- バックアップの方法はイメージバックアップかファイルバックアップか
- バックアップ対象がサーバーかクライアントか
- SaaS型かPaaS型か
クラウドバックアップを利用する場合は、これらの区分けの中から、自社に合った組み合わせのサービスを選ぶ必要があります。具体的な選び方については、後半で詳しく解説します。
クラウドバックアップを導入するメリット
クラウドバックアップの導入には、オンプレミスのバックアップにはないメリットがあります。メリットを理解することで、自社にとってクラウドバックアップが有用かどうかを判断できるでしょう。
ここからは、以下の主要な5つのメリットについて具体的に解説します。
- BCP対策になる
- ランサムウェアへの対策になる
- 人的ミスへの対策になる
- 減価償却の対象外にできる
- インターネット環境があればどこでもバックアップできる
BCP対策になる
クラウドバックアップのメリットは、災害などの有事に強い点です。地理的に離れた場所にデータを保管することで、地震や火災、洪水などの災害が発生しても、それらを失うリスクを軽減できます。災害大国の日本において、非常に心強いでしょう。
クラウドサービス事業者は、サーバーなどの設備をデータセンターに置いています。データセンターは、一般的なオフィスビルに比べて電力や防火設備、セキュリティシステムなどにおいて高度な設備を持っています。24時間365日の監視体制により、障害の早期発見と迅速な対応も可能です。
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ランサムウェアへの対策になる
近年急増しているランサムウェアに対しても、クラウドバックアップは有効な対策手段となります。
ランサムウェアは企業のシステムに侵入してファイルを暗号化し、復旧のために身代金を要求する悪質な攻撃です。クラウドバックアップがあれば、暗号化される前の正常なデータを復元できる可能性が残されます。
多くのクラウドバックアップサービスでは、過去複数時点のデータを保持する「世代管理」が可能で、感染前の任意の時点に戻すことが可能です。バックアップデータは企業のネットワークとは分離された環境に保存されるため、攻撃者もアクセスしづらく、全滅を回避できるでしょう。
人的ミスへの対策になる
従業員による誤操作でファイルを削除してしまったり、重要なデータを上書きしてしまったりする人的ミスは、どの企業でも起こりうる問題です。
クラウドバックアップは、そうした人的ミスに対しても有効です。
減価償却の対象外にできる
クラウドバックアップは、月額または年額のサービス利用料として費用を計上するため、減価償却の対象外となります。
オンプレミスのバックアップでは、サーバーなどの固定資産を購入する必要があり、数年間にわたって減価償却として計上しなければなりません。一方で、クラウドバックアップなら全額をその年の経費にできるため、会計処理を簡素化できます。
また、初期導入時の大きな設備投資も不要となるため、キャッシュフローの改善にも寄与します。特に中小企業にとっては、少ない初期コストで高品質なバックアップ環境を構築できる点が大きなメリットとなるでしょう。
インターネット環境があればどこでもバックアップできる
リモートワークが普及した現在、従業員がオフィス外で業務を行うのが当たり前になりました。
PCなどクライアントのバックアップをとりたい場合、出社したタイミングで断続的に同期されるか、リモートVPNで社内ネットワークへ接続する必要があります。一方で、クラウドバックアップならインターネット環境さえあればどこからでも可能です。
クラウドバックアップを導入するデメリット
メリットの多いクラウドバックアップですが、もちろんデメリットもあります。以下のデメリットを理解し、自社の環境や要件と照らし合わせて導入を検討しましょう。
- インターネット環境が必須になる
- バックアップとは別の通信を圧迫する可能性がある
- 自社のセキュリティポリシーに沿わない可能性がある
インターネット環境が必須になる
メリットとして「インターネット環境があればどこでもバックアップできる」ことについて解説しましたが、裏を返せば、クラウドバックアップを利用するためには安定したインターネット環境が不可欠ということです。
インターネット環境が不安定だったり、通信速度が遅かったりすると、バックアップ処理に時間がかかったり、最悪いつまでも完了せずに失敗する可能性もあります。地方や山間部など、インターネット環境が整っていない地域では注意が必要です。
また、災害などでインターネットが切断された場合は復元ができなくなってしまいます。有事におけるデータ保持と、それにアクセスできるかどうかは別の話として理解しておきましょう。
バックアップとは別の通信を圧迫する可能性がある
昨今は、企業が抱えるデータも大容量化してきており、クラウドにバックアップをとる際には大量の通信が流れるため、インターネット回線の帯域も大きく消費します。これが他の業務の通信を圧迫してしまい、業務に支障が出る可能性があります。
特に初回のフルバックアップでは、すべてのデータを転送する都合上、数日から数週間にわたって帯域を圧迫するケースがあります。
こうした事態を避けるために、多くのクラウドバックアップサービスでは帯域制限機能や時間指定バックアップ機能を提供しています。バックアップの時間を業務時間外に限定するなど、対策を検討しておきましょう。
自社のセキュリティポリシーに沿わない可能性がある
企業によっては、データを外部に保存することが社内規定やセキュリティポリシーに抵触する場合があります。特に金融や医療、政府関連などの業界では、厳格なデータ管理規制が設けられており、クラウドサービスの利用が制限されている場合もあります。
また、海外のデータセンターにデータが保存されることで、データの所在地に関する法的問題が生じる可能性もあります。場合によっては、クラウドバックアップを提供している企業のセキュリティ対策が、自社のセキュリティ要件を満たせていないケースもあるでしょう。
このような場合、国内リージョンのみのサービスや、暗号化レベルの高いサービスを選ぶ必要があります。
導入前には法務部門やセキュリティ部門と十分に協議しましょう。
失敗しないクラウドバックアップサービス選びのポイント
クラウドバックアップサービスは数多く存在し、それぞれに特徴や料金体系が異なります。自社に最適なサービスを選ぶためには、以下の5つのポイントを慎重に検討する必要があります。
- バックアップ対象は適切か
- イメージバックアップが必要か
- 重複排除が必要か
- 容量とコスト、課金体系は適切か
- サポート体制は適切か
バックアップ対象は適切か
単にバックアップと言っても、その対象はさまざまです。大きく「サーバー」と「クライアント」に分かれますが、サービスによっては Microsoft 365 や Google Workspace などクラウドサービスも対象とすることができます。
また、サーバーであれば Windows や Linux、クライアントであれば macOS など、対象のOSもチェックする必要があります。
将来的な拡張性なども見越しながら、自社がバックアップの対象としたいデータやOSからサービスを選定しましょう。
イメージバックアップが必要か
バックアップの方法は、「イメージバックアップ」と「ファイルバックアップ」に大きく分けられます。
イメージバックアップがファイルやソフトウェアに加えてOSまでバックアップする手法であるのに対し、ファイルバックアップはファイル単位(あるいはフォルダ単位)でバックアップする手法です。
システム全体の迅速な復旧が必要な企業はイメージバックアップを、特定のファイルのみを効率的にバックアップしたい企業はファイルバックアップを選択すると良いでしょう。
両方のタイプを組み合わせて使用できるサービスもあるため、用途に応じて使い分けることも可能です。自社の環境とバックアップの目的を明確にし、最適なタイプを選択するようにしましょう。
重複排除が必要か
重複排除とは、1度バックアップを取ったデータと同じデータのバックアップを避ける機能です。保管するデータの無駄を省き、バックアップの容量を削減する効果があります。
データ容量が多くなると、その分コストも高くなります。重複排除が可能であればバックアップにかかるコストと時間を削減できるため、特にデータ量の多い企業では重要です。
「グローバル重複排除」という、組織単位での重複排除が可能なサービスもあります。
重複排除の対象や手法はサービスによって異なるため、確認しておきましょう。
容量とコスト、課金体系は適切か
多くのクラウドバックアップサービスでは、500GB、1TB、2TB、4TB…といった形で、容量のメニューが設けられています。それに応じて費用が変わるため、自社がバックアップ対象としたいデータの容量は事前に確認しておく必要があります。
課金体系は、容量単位の固定課金や従量課金、クライアント数での課金など、サービスによってさまざまです。
従量課金は実際に使用した分だけ料金が発生しますが、容量だけでなく、データ転送時の通信量に課金される場合もあります。
従量課金は固定課金に比べて安価に済む傾向にありますが、用途や設計によっては思わぬ金額を請求されてしまう可能性もあります。経営や経理部門とも協議しておきましょう。
サポート体制は適切か
導入支援や運用後のサポートなど、自社に適したサポート体制があるかどうかも確認したいポイントです。例えば、以下のような項目が挙げられます。
- 24時間365日か
- 受付は電話かメールか
- リモート支援は可能か
- データ復元をサポートしてくれるか
自社でこれらに対応できるようであればサポートは最小限で良いでしょうし、逆に専門的な知識を持っている人材がいない場合は手厚いサポートが期待できるサービスを選びましょう。
法人におすすめ!USEN GATE 02 のクラウドバックアップサービス5選
ここまで解説してきたクラウドバックアップサービス選びのポイントは、「情シスマン」を運営するUSEN IT Solutionsの知見に基づいています。USEN ICT Solutionsは、法人向けICTソリューション「USEN GATE 02」を提供しており、もちろんクラウドバックアップサービスもラインアップしています。
ここでは、USEN GATE 02 のクラウドバックアップサービスの中から、法人におすすめな6つのサービスをご紹介します。
- クラウドバックアップサービス(Va)
- クラウドバックアップサービス(AJ)
- Azure Backup(MARS エージェント)
- Azure Blob Storage
- クラウドバックアップサービス type Druva inSync
- クラウドバックアップサービス type Druva Phoenix
クラウドバックアップサービス(Va)
一次バックアップをオンプレミスに、二次バックアップをクラウドに取得するハイブリッド型・SaaS型のバックアップサービスです。
クラウドバックアップが抱える「インターネット環境がなければバックアップできなくなる」という課題を解消しており、オフラインでのバックアップにも対応しています。
対象 |
|
|---|---|
保存場所 | お客様宅内のオンプレミス+国内2拠点(東京・大阪)のデータセンター |
イメージバックアップ | 不可 |
容量 |
|
課金体系 | 固定課金 |

クラウドバックアップサービス(AJ)
物理サーバーや仮想サーバーはもちろん、クラウドサービスのバックアップにも対応しているSaaS型のサービスです。500GBまでの固定課金と、それ以降1GB単位の従量課金を組み合わせており、ムダのないクラウドバックアップ利用を実現します。
対象 |
|
|---|---|
保存場所 | IIJクラウド |
イメージバックアップ | 可 |
容量 | 500GB |
課金体系 | 500GBまでは固定課金 |

Azure Backup(MARS エージェント)
Microsoft Azure 上のデータのバックアップはもちろん、オンプレミス環境にも対応しているPaaS型のサービスです。1TBが8,000円台から利用することができ、非常に安価にクラウドバックアップの環境を構築することができます。
対象 |
|
|---|---|
保存場所 | Microsoft Azure |
イメージバックアップ | 不可 |
容量 | フレキシブル |
課金体系 | 従量課金 |
※ USEN GATE 02 では、Microsoft Azure のライセンス提供や環境構築を支援しています。
Azure Blob Storage
容量無制限・低価格・堅牢なオブジェクトストレージサービスの Azure Blob Storage は、クラウドバックアップとして利用することもできます。Microsoft Azure よりさらに安価ですが、データの復元においては利便性が低く、アーカイブ向きと言えます。
対象 |
|
|---|---|
保存場所 | Microsoft Azure |
イメージバックアップ | 不可 |
容量 | フレキシブル |
課金体系 | 従量課金 |
※ USEN GATE 02 では、Microsoft Azure のライセンス提供や環境構築を支援しています。
クラウドバックアップサービス type Druva inSync
クライアントとクラウドサービスのバックアップに特化したSaaS型のサービスです。Microsoft 365 であれば Exchange Online や SharePoint、Teams。Google Workspace であれば Gmail や Google ドライブなどのバックアップを取得することができます。

クラウドバックアップサービス type Druva Phoenix
サーバー向けのSaaS型のサービスです。AWS を基盤としており、プランによっては複数のリージョンを使用することができるため、ディザスタリカバリとしてのバックアップにも最適です。

クラウドバックアップを上手く活用して自社のビジネスを守ろう
現代のビジネスにおいて、データの保護は企業の存続に直結する重要な課題のひとつです。上手にクラウドバックアップサービスを利用すれば、災害対策やサイバー攻撃対策、コスト削減、運用効率化など、数多くのメリットを享受できるでしょう。
一方で、インターネット環境への依存やセキュリティポリシーとの適合性など、検討すべき課題もあります。自社の業務実態や予算、リスク許容度を正しく把握し、最適なサービスを選ぶようにしましょう。
「情シスマン」を運営するUSEN ICT Solutionsでは、法人向けに用途・予算に応じたさまざまなクラウドバックアップサービスを提供しています。また、クラウドバックアップ導入後に陥りがちな「通信環境のひっ迫」についても支援可能です。
データのバックアップにお困りの方はぜひご相談ください。
