オフィス移転のネットワーク構築完全ガイド|6ヶ月前から始める準備手順
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オフィス移転の際には、新しいレイアウトや内装の決定に注力しがちですが、「ネットワーク環境の再構築」も非常に重要です。ネットワークの準備を後回しにした結果、移転直前や当日に混乱が生じるケースは少なくありません。現代ビジネスにおいて、インターネット接続は事業継続に不可欠な生命線となるインフラであるため、計画的な準備が必要です。
そこで今回は、「オフィス移転とネットワーク」をテーマに、頻発するトラブル事例の紹介から、移転の6ヶ月前から開始すべき具体的な準備スケジュールについて解説します。ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- オフィス移転時に多発するネットワークトラブルの事例
- 移転前に担当者が確認・準備すべき重要ポイント
- 移転の「6ヶ月前」から始めるべき準備スケジュールと手順
- 移転後に実施すべきネットワークの最終チェックポイント
※本記事では一般的なスケジュールについて解説しています。実際のスケジュールは、移転の目的や移動距離や地域などさまざまな要因に左右されますので、然るべき業者にお早めに相談されることをおすすめします。
ネットワーク構築の基本的な流れ
オフィス移転を成功させるためには、まずネットワーク構築の基本的な流れを理解することが重要です。オフィス移転時のネットワーク構築は、大まかに以下の流れで進めます。
- 現状のネットワーク環境の調査
- 新オフィスの要件定義
- 回線業者への申し込み
- 配線工事の実施
- 機器の設置と設定
- 動作確認とテスト
- 旧オフィスからの切り替え
まず、現在のネットワーク環境と利用状況を把握し、新オフィスに必要な回線速度や機器を決定します。次に、新オフィスの建物の配線設備を確認し、必要な工事の範囲を特定していきます。その後、回線業者に申し込み、開通工事の日程を調整していく流れです。
オフィス移転でバタバタしている状況で並行して進めなければいけないため、事前にスケジュールを立てておくようにしましょう。

オフィス移転時に多発するネットワークトラブル
オフィス移転は、単に荷物を運ぶだけのプロジェクトではありません。事前の準備不足によって引き起こされる、オフィス移転時の代表的なネットワークトラブルを3つ紹介します。
ネットワーク構成を把握できておらず、業務が開始できない
長期間同じオフィスを使用していると、社員の増員や業務の拡張に対応するためにルーターやスイッチングハブを場当たり的に追加してしまい、ネットワーク構成が把握できない「ブラックボックス化」に陥りがちです。特に、会社規模が大きくなったり、業務内容が複雑化している企業でこの問題は顕著です。
結果的に、新オフィスへの移転時に機器を接続しても、「なぜか基幹システムに接続できない」「特定の部署だけインターネット速度が極端に遅い」といったトラブルが発生します。これは、日頃から自社のネットワーク構成図を作成し、適切に管理するという対策ができていないことが大きな原因です。
インターネット回線や機器の手配遅れによる業務支障
インターネット回線は、申し込んでからすぐに使えるわけではありません。契約している回線をそのまま移転先で使う場合でも、移転を機に新しく契約する場合でも、新オフィスでの利用可否や工事の調整が必要です。
余裕を持って回線事業者に相談できていれば問題ありませんが、移転の直前になって慌てて手配をしようとすると、必要な機器の調達が間に合わなかったり、現地での配線工事の予約が取れず、開通が移転日に間に合わないという事態が発生します。
予期せぬトラブルに対応できる専門の担当者がいない
どれだけ綿密に計画を立て、準備を進めていたとしても、移転作業中には予期せぬトラブルが発生する可能性があります。
物理的な故障や突発的なネットワーク障害が発生した際、社内に専門知識を持つ担当者(あるいはすぐに駆けつけてくれるパートナー企業)がいないと、原因究明と復旧までに膨大な時間を要してしまいます。
移転前に確認・準備すべき重要ポイント
スムーズな移転を実現するために、事前に確認・準備しておくべき重要なポイントを解説します。
ネットワークの「見える化」(構成の把握)
前章でも触れた通り、現状のネットワーク構成の把握は最初のステップにして最重要項目です。現在利用しているISP(プロバイダー)や回線業者、契約プラン、固定IPの数などをリストアップします。同時に、ファイアウォールやルーター、スイッチ、アクセスポイント、サーバーなど、社内に存在するすべてのIT機器の構成図を作成し、「見える化」しておくことが重要です。
もし自社での把握や構成図の作成が難しい場合は、専門の外部サービスを活用するのも有効な手段です。

サーバーの移設準備と運用形態の再検討
ファイルサーバーやWebサーバーなど、現在社内で稼働しているサーバーの運用形態(オンプレミス、レンタルサーバー、クラウドなど)を把握します。物理サーバー(オンプレミス)を新オフィスに移設する場合は、運搬時のリスクや移設費用がかかります。
移転はシステムの老朽化を見直す絶好のタイミングでもあるため、これを機に AWS や Microsoft Azure、Google Cloud などのパブリッククラウドや、データセンターを活用したハウジング・ホスティングへの移行を検討するのも一つの有効な手段です。

PCの再設定準備と従業員向けマニュアルの作成
オフィスが変わり、ネットワーク環境が新しくなると、従業員が使用するPCやプリンター、複合機のネットワーク設定(IPアドレスやWi-Fiのパスワードなど)の変更が必要になるケースがあります。担当者が数十〜数百台のPCをすべて手作業で設定するのは非現実的です。そのため、従業員自身でスムーズに再設定ができるよう、事前にわかりやすい手順書やマニュアルを作成し、配布しておくことが重要となります。
移転前の確実なデータのバックアップ
精密機器であるサーバーやストレージ、ネットワーク機器は、運搬時のわずかな振動や衝撃で故障してしまうリスクがゼロではありません。万が一、機器が破損してデータが消失してしまえば、企業の存続に関わる大問題に発展します。システムやデータベース、PC内の重要なファイルなど、事業継続に不可欠なデータは、必ず移転作業の前にクラウド上や外部メディアにバックアップを取得しておきましょう。

6ヶ月前から始めるネットワーク構築のスケジュールと手順
ネットワーク構築には、多くの方が想像している以上の時間がかかります。光回線の新規引き込み工事が必要な場合や、企業の移転が集中する繁忙期(3月や9月など)には、申し込みから開通までに数ヶ月を要することも珍しくありません。そのため、おおよそ「6ヶ月前」からスタートさせるケースが多いです。
ここでは、移転の6ヶ月前から移転直前までの具体的な手順をステップごとに解説します。
【6ヶ月前〜4ヶ月前】現状把握・要件定義と回線業者への申し込み
移転プロジェクトが立ち上がったら、まずは現在のオフィスのネットワーク環境と利用状況を詳しく調査します。現在契約している回線の速度や実際の通信速度、ピーク時の利用状況、接続している機器の数などを洗い出しましょう。
同時に、移転先でどのような働き方を実現したいのか(テレワークの継続、フリーアドレスの導入など)を社内で共有し、必要な条件を定義します。関連部署と作業内容の洗い出しを行い、詳細なスケジュールを決定します。
新オフィスの要件が固まったら、インターネット回線の選定に入ります。セキュリティや回線速度などを比較し、必要な場合は固定IPアドレスの取得やバックアップ回線の導入も検討しましょう。回線業者が決定したら、この段階で正式に申し込みを行い、開通工事の日程を確保しておくことが重要です。
【3ヶ月前〜2ヶ月前】新オフィスの配線設計と工事業者の手配
回線の申し込みが完了したら、新オフィスのレイアウトに合わせてネットワーク機器(ルーター、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイント、サーバーなど)の配置を設計します。
新オフィスの建物の配線設備も必ず確認してください。建物に光回線が引き込まれているか、LANケーブルの配線スペース(床下や天井裏)は十分かを確認します。賃貸オフィスの場合は、配線工事を行うために管理会社や大家への許可申請が必要になるため、早めの確認が必須です。
また、この時期にLANの敷設工事を担当する業者や、旧オフィスの既設回線を撤去する業者の手配も行います。サーバーの移設がある場合は、専門のサーバールーム移設業者も手配しておきましょう。
【1ヶ月前】機器の手配と配線工事の実施
移転の1ヶ月前には、設計に基づいて必要なネットワーク機器をすべて発注・手配します。ルーター、スイッチングハブ、無線アクセスポイント、LANケーブルなど、抜け漏れがないようにリストアップします。既存の機器を新オフィスに持ち込む場合は、新環境での互換性や老朽化の度合いを確認し、必要に応じて買い替えを検討してください。
また、オフィス家具の搬入などに合わせて、床下配線(OAフロア)や天井配線などのLANケーブル敷設工事を実施します。無線LANを導入する場合は、事前のサイトサーベイ(電波測定)をもとに、死角ができないようアクセスポイントを正確に設置します。
【2週間前〜移転直前】動作確認テストと旧オフィスからの切り替え
配線工事が完了し、機器の設置が終わったら、必ず移転前にすべての機器を接続して動作確認を行います。各端末からインターネットに正常にアクセスできるか、社内サーバーに繋がるか、Wi-Fiの電波はオフィスの隅々まで安定して届いているかをテストします。
また、旧オフィスで使用していたIPアドレスなどのネットワーク設定を、新オフィスの環境に合わせて変更する準備も進めます。問題がなければ、移転当日に旧オフィスの回線を停止し、新オフィスの回線へと完全に切り替えます。
オフィス移転後の最終チェックポイント
移転直後、本格的に業務を開始する前に、以下をチェックするようにしましょう。
- すべての機器の接続と動作確認
- 実測値による通信速度の計測テスト
- セキュリティ設定の再確認
すべての機器の接続と動作確認
全社員のPCやプリンター、複合機、IP電話などが正しくネットワークに接続されているかを確認します。また、社内サーバーやクラウド上の共有フォルダへのアクセス権限が正しく機能しているか、無線LANの電波が会議室やリフレッシュスペースを含むオフィスの隅々まで死角なく届いているかも確認しましょう。
実測値による通信速度の計測テスト
契約した回線速度が実際に出ているか、スピードテストツールを用いてダウンロード・アップロードの速度を計測します。さらに、実務を想定し、Web会議ツールを複数人で同時に接続してみる、大容量のファイルをクラウドストレージにアップロード・ダウンロードしてみるなど、業務に支障が出るレベルの遅延が発生しないかテストすることが重要です。

セキュリティ設定の再確認
移転作業の中で一時的に変更した設定が元に戻っているかなど、セキュリティの抜け穴がないかを以下の点を再確認します。
- ルーターやファイアウォールの設定
- 不要なポートが開きっぱなしになっていないか
- Wi-Fiの暗号化方式(WPA3など)が正しく設定されているか
- ゲスト用Wi-Fiと社内用Wi-Fiが適切に分離されているか
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オフィス移転時のネットワーク構築は、「6ヶ月前」からの計画的な準備と段階的な実施が成功の最大の秘訣です。 まずは現状のネットワーク環境を正確に「見える化」し、余裕を持ったスケジュールで回線業者や工事業者の手配を進めましょう。
