【初心者向け】DXの進め方と推進方法。具体的な手順と導入までわかりやすく解説
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DXという言葉を聞く機会は増えたけれど、いざ始めようとすると「何をどうすればいいのか?」と迷ってしまう企業が多くあります。中には、ツールを入れるだけで終わってしまい、思うような効果が得られずに悩んでいる担当者も少なくありません。
DXを推進するには意味や目的を正しく理解し、段階的に実行する計画を立てることが不可欠です。
この記事では「DXの進め方」を8個の手順にわけて詳しく解説しています。「DXに役立つツール」も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事を読んでわかる内容>
- DX導入の進め方・手順
- DX導入でおすすめのツール
DXを推進する際に知っておきたいポイント
DXを推進する前に、まずは知っておきたいポイントが2点あります。
- DXの意味
- DX・デジタイゼーショイン・デジタライゼーションの違い
DXの意味
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、単にITツールを導入するだけでなく、デジタル技術を活用してビジネスの仕組みや組織全体を変革することを指します。デジタル化が目的ではなく、それによって新たな価値を創出し、変化の激しい市場環境に対応していくことがDXの本質です。
DX・デジタイゼーショイン・デジタライゼーションの違い
DXを正しく進めるためには、似たような言葉で混同されがちな「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」との違いを理解しておくことが重要です。
まず、「デジタイゼーション」は、紙の書類をPDF化するといったアナログ情報のデジタル化を指します。情報の取り扱いが容易になり、検索や共有をスムーズにできるようになりますが、あくまで情報の形式を変えるだけの段階です。デジタイゼーションはDXの出発点と言えるでしょう。
次に、「デジタライゼーション」は、デジタイゼーションをベースにして、ビジネスプロセスそのものをデジタル技術で改善することを意味します。たとえば、オンラインでの契約手続きや自動化された受発注システムの導入が該当します。デジタル技術の活用によって、業務の効率や柔軟性を向上させる点が「デジタライゼーション」の特徴です。DXの中間ステップとして、業務全体の再設計が始まる重要なフェーズともいえます。
そして「DX」は、デジタライゼーションの先にある概念です。企業活動全体をデジタル起点で再構築し、新たな価値を創出する取り組みです。単なる業務改善にとどまらず、ビジネスモデルそのものを見直す視点が求められます。
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【誰でもできる!】DXの具体的な進め方
DXを成功させるためには、単に最新の技術を導入するだけでは不十分です。現場の課題や業務フローを見直し、少しずつ変化を積み重ねていくことが重要です。ここでは、DXを着実に進めるための基本的なステップをご紹介します。
- DXの目的を明確にする
- 業務の棚卸をする
- 棚卸をもとに戦略を立案する
- 優先順位をつける
- 社内体制を整える
- ITツールやシステムを検討する
- 効果測定を行う
- PDCAサイクルを回して改善していく
Step1.DXの目的を明確にする
まず「何を変えたいのか」「どのような価値を創出したいのか」を明確化することが重要です。たとえば、以下のように具体的な目的を設定します。
- 顧客体験や顧客満足度の向上
- 新しいビジネスモデルの構築や新たな価値の創出
- データに基づいた意思決定の迅速化と最適化
これらの目的は、経営目標と紐づけて定義することが重要です。この段階で、組織全体で共通認識を持つことがDX成功への第一歩となります。
Step2.業務の棚卸をする
DXの目的を明確にしたら、次に現状の業務フローや利用しているITシステム、人員配置、課題を洗い出します。部門ごとのヒアリングや業務プロセスの可視化を通じて、「アナログな作業」「属人化している業務」などを特定します。ツールの選定や社内体制づくりの前に、この現状把握を怠ってしまうと、後々の認識のズレや無駄な投資につながるリスクがあります。
Step3.棚卸をもとに戦略を立案する
次に、業務の棚卸で明らかになった課題をもとに、DXの方向性や戦略を定めていきます。ここでは「どの課題にどう取り組むのか」「どのように社内へ広げていくのか」といったロードマップを描いていくことが中心になります。
DX推進は全社的な取り組みが理想ですが、「部署単位」や「業務単位」など、スモールスタートで進めるケースも少なくありません。まずは特定の部署や業務プロセスに絞って小さく始め、成果を見ながら段階的に広げていくことで、リスクを抑えながら推進できます。
ただし、スモールスタートには注意点もあります。部門単位で個別にDXを進めた結果、ツールやシステムがバラバラに導入され、部門間での情報連携が難しくなってしまう、所謂「サイロ化」が起こることもあるためです。こうした事態を避けるためには、初期段階から「全社最適」を視野に入れつつ進めることが大切です。
Step4.優先順位をつける
DXの戦略を描いたら、次に具体的な取り組みの優先順位づけを行います。棚卸しを通じて浮かび上がった課題や改善点は、どれも重要に見えるかもしれませんが、限られたリソースですべてを一度に解決するのは現実的ではありません。
優先順位を決める際は、「効果の大きさ」と「実現可能性」を軸に整理すると効果的です。まず、改善により業務効率がどれほど上がるのか、顧客満足度や売上に直結するのかなど、「取り組む意義の大きさ」を評価します。そして、導入の難易度やコスト、関係者の多さ、現場の準備状況などを踏まえ、今の体制やスキルで実行可能かを見極めます。これによって、すぐに着手すべき領域と、慎重に準備を要する領域が整理しやすくなります。
前のステップでも触れたように、スモールスタートを採用する場合であっても、「始めやすさ」だけを基準に優先順位を決めると、全社最適が損なわれる可能性があります。目の前の業務効率化だけでなく、「この取り組みが全体にどう波及するか」「今後の展開にどうつながるか」といった中長期的な視点を持って、バランスよく優先順位を決めていくことが求められます。
Step5.社内体制を整える
DXを進めるには、部門を横断した推進体制の構築が不可欠です。業務やシステムは複数の部門にまたがっていることが多く、特定の部門だけで進めてしまうと「サイロ化」を引き起こすリスクがあります。体制のあり方は企業によってさまざまですが、主に以下のようなパターンがあります。どの体制が最適かは、企業の規模や既存の人材リソースによって変わるため、自社に合ったスタイルを柔軟に検討することが大切です。
部門横断チーム型
各部門から代表者を集めてDX推進チームを構成する形です。現場とIT双方の視点を取り入れやすく、全社最適に向けたバランスの良い進め方が可能です。しかし、関係者が多くなるため調整に時間がかかることがあるでしょう。
IT部門拡張型
情報システム部門などにDX専門の機能を設ける形です。セキュリティや技術の統制がしやすく、全社的な整合性を保ちやすい点が利点です。一方で、業務部門の実情を十分に反映できない恐れもあります。
事業部門主導型
現場主導でDXを進め、IT部門が支援する体制です。現場のニーズに即した柔軟な対応が期待できますが、ITの専門知識が不足していると、システムの選定や運用で課題が生じる可能性があります。
また、DXには人材の確保や育成、システム導入など、時間とコストがかかります。経営層が変革の意義を理解し、長期的な投資としてコミットすることも、社内体制づくりにおいて欠かせない要素です。
自社に不足するノウハウや技術を補うためには、外部のITベンダーやコンサルタントを活用することも有効な手段です。外部の知見をうまく取り入れることでDX推進を加速させることができるでしょう。
Step6.ITツールやシステムを検討する
社内体制が整ったら、いよいよ具体的なツールやシステムの導入に着手します。ここで重要なのは「課題に合った選定」と「導入後の活用まで見据えた設計」です。自社の業務にフィットしているか、現場が使いやすいか、既存システムとの連携が取れるかなど、実運用を意識した選定基準が必要です。
導入時には、コスト面や社内の承認プロセスも無視できません。初期費用や運用コスト、社内の稟議、関係部門との調整など、計画的に進めるための段取りを整えることが重要です。
また、信頼できるITベンダーやパートナー企業の選定も成否を左右します。製品の性能だけでなく、サポート体制や自社との相性、将来の拡張性なども含めて、総合的に判断することが求められます。
Step7.効果測定を行う
ITツールを導入した後は、その施策がどれだけ効果を上げているかを測定する必要があります。そのためにも、生産性向上やコスト削減、作業時間の短縮など、目的に応じた指標を設定しておきましょう。たとえば、以下のような形です。
- 業務時間の削減率
- コスト削減率
- 顧客満足度
- 新規顧客獲得数
- 売上成長率
効果測定を行わないまま進めてしまうと、「結局何が良くなったのか分からない」といった事態に陥ってしまう可能性もあります。数値で示せる成果であれば、社内への説明もしやすくなり、今後の施策に対する投資判断にも良い影響を与えるでしょう。
Step8.PDCAサイクルを回して改善していく
DXは一度やって終わりではありません。社会や顧客ニーズの変化に合わせて、業務やシステムも柔軟に変化させていく必要があります。そのためには、実行後の効果を分析し改善策を立て、再び計画・実行する「PDCAサイクル」を継続的に回す体制が不可欠です。成功事例や失敗事例を社内で共有しながら、DXに関する知見を全社で蓄積していきましょう。
このサイクルを通じて、改善点を洗い出し、より効果的な施策を立案・実行していくことが、真のDXにつながります。また、現場からのフィードバックを積極的に取り入れることで、現実的かつ現場に根ざした改善が進みやすくなります。
DX推進に役立つ5つのツール
DX推進において、「適切なツール選び」は戦略や体制づくりと並んで非常に重要です。ここでは、代表的な5つのITツールをご紹介します。
- グループウェア
- ワークフローシステム
- タレントマネジメントシステム
- 営業支援ツール
- RPAツール
グループウェア
グループウェアは、ファイル共有・スケジュール管理・メール・オンライン会議などの機能が統合されており、企業内の情報共有とコミュニケーションを円滑化します。組織内のあらゆる情報のやり取りを一元的に管理することによって、地理的に離れた拠点間や異なる部門間でも、リアルタイムでの情報共有や共同作業が容易になり、意思決定の迅速化や業務プロセスの最適化に貢献します。
さらに、Google Workspace や Microsoft 365 といったクラウド型のグループウェアは、インターネット環境さえあれば、オフィスや自宅、外出先など、場所や端末を問わずアクセスできるため、リモートワークなど多様な働き方を支える基盤としても強みを発揮するでしょう。

ワークフローシステム
ワークフローシステムは、申請や承認などの業務プロセスを電子化・自動化するためのツールです。これまで紙ベースで行われていた稟議書や経費精算などの手続きをデジタル化することで、申請から承認、決裁までのプロセスを迅速かつスムーズに進めることが可能になります。
ワークフローシステムを導入することで、企業は非効率な業務プロセスから脱却し、デジタルな働き方へと移行できます。たとえば、外出先からスマートフォンで申請・承認を行ったり、承認ルートを自動化したりすることで、担当者の負担を軽減し、意思決定のスピードを向上させます。
タレントマネジメントシステム
タレントマネジメントシステムとは、従業員のスキルや経験、評価、研修履歴などの人材情報を一元的に管理・可視化するツールです。人事業務を効率化するだけでなく、採用・育成・配置・評価といった一連のプロセスをデータに基づいて最適化できるため、人材戦略を「勘や経験」ではなく、「根拠ある意思決定」へと進化させることが可能となります。

営業支援ツール
営業支援ツール(SFA)は、営業活動をデジタルで可視化し、管理・分析を効率的に行うためのツールです。顧客情報や案件の進捗情報、商談履歴などを一元管理できるため、「誰がどの顧客に何をしているか」が明確になります。
たとえば、「Salesforce」や「Sansan」などを活用することで、営業ノウハウの属人化を防ぎ、営業フローの標準化・再現性の向上に貢献します。また、マーケティングツールや名刺交換アプリと連携することで、より精度の高い営業戦略を立てることも可能になります。
RPAツール
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型業務を自動化するツールです。たとえば、請求書発行やデータ転記など、繰り返しする作業をRPAに任せることで、人的ミスを減らし、作業時間を大幅に削減できます。さらに、属人化も防ぐことにもつながるでしょう。
DXは単なるIT化ではなく、経営や業務のあり方を根本から見直す取り組みです。ITツールを入れただけで終わるのではなく、DXを推進・導入する目的を明確にし、段階を踏んで実行していくようにしましょう。
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