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IPv6の読み方とは?初心者でもわかるIPアドレスの基本&IPv6のメリット・デメリット

著者: 情シスマン
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普段何気なく利用しているインターネットですが、いつも使っているスマートフォンやPCからどのような接続方法でインターネットにアクセスされているかを理解していますか?インターネットを利用する度に毎回難しいことを考える必要はありませんが、基本的な知識を持っておくと、快適なインターネット環境を手に入れられるようになるかもしれません。

〈この記事を読んでわかる内容〉

  • IPv6とはどんなIPアドレスなのか
  • IPv6のメリットとデメリット
  • IPv6で接続されているか確認する方法
  • 接続方式をIPv6に変更する方法

ちょっと難しそうなインターネット用語ですが、初心者でもわかりやすく、IPv6について解説します。

IPv6の読み方とは

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「IPv6」は「Internet Protocol Version 6」の略で、「アイピーブイシックス」や「アイピーブイロク」または「アイピーバージョンシックス」と呼ばれます。IP(インターネットプロトコル)という通信規格のうち、6番目のバージョンということです。

ここからは、IPv6アドレスの表記や構成といった、基本的な知識についてご説明します。

  • IPv6アドレスの表記法
  • IPv6アドレスの構成
  • IPv6アドレスの種類

IPv6アドレスの表記法

普段利用する際には意識しませんが、スマートフォンやPCなどインターネットに接続できる機器にはIPアドレスという識別番号が振られています。IPアドレスはインターネット上の住所のようなもので、通信する際の位置情報として機能します。

IPv6以前に広く使われていた通信規格はIPv4です。IPv4は、32桁の2進数(32ビット)の数字の組み合わせで表され、約43億(2の32乗)通りあります。IPv4の後継として、IPv5がありますが、いくつかの理由により標準化されず、普及しませんでした。

2進数というのは、コンピューターには扱いやすいですが、人間には扱いづらいため、馴染みのある10進数に変換して表記されることがあります。その際、32ビットを8ビットずつ4組に分け、「.(ピリオド)」で区切ります。

2進数で表されるIPv4アドレスの例)11000000.10101000.00000001.00000001

10進数で表されるIPv4アドレスの例)192.168.1.1

IPアドレスは、通信する際の位置情報として使われるので、一意である必要があります(重複することができません)。そのため、IPv4が使われ始めた頃には、43億通りもあれば十分だと考えられていましたが、インターネットが普及し、あらゆる機器がインターネットに繋がる時代になると、足りなくなってしまいました。

そこで新しい通信規格としてIPv6が登場したのです。

IPv6は、128桁の2進数(128ビット)の数字を16桁(16ビット)ごとに区切り、8つのフィールド(グループ)に分け、16進数で表記します。各フィールドは「:(コロン)」で区切ります。こうすることで、IPアドレス自体は長くなってしまうのですが、バリエーションとしては、3.4×10の38乗個(IPv4の約340澗倍!)という途方もない数になるのです。

IPv6の表記例)2001:0db8:1234:5678:90ab:cdef:0000:0000

IPアドレスが長くなると管理が大変になるので、表記を短縮できる2つのルールをご紹介します。

管理を楽にするIPv6アドレスの表記ルール1

「:」で区切られた部分(フィールド)がすべて0となり、 この条件を満たすフィールドが2個以上続く場合、0を省略して「::」と表記することができます。 なお、そのようなフィールドが2ヵ所以上ある場合は、 どちらを省略しても構いません。ただし、このルールは一つのアドレス内で一度しか使うことができません。 なぜなら、2度以上省略してしまうと、 どのフィールドを省略したのかが、 わからなくなるからです。

IPv6アドレスの長い表記例)2001:0db8:0000:0000:3456:0000:0000:0000

正しい短縮例)2001:0db8:0000:0000:3456:: または、2001:0db8::3456:0000:0000:0000

誤った短縮例)2001:0db8::3456::

管理を楽にするIPv6アドレスの表記ルール2

「:」で区切られたフィールドの中で、 先頭から連続する0を省略して表記することができます。 ただし、上記のルールにより「::」と表記できる場合を除いて、 フィールドの中には最低一つ以上の数値が表記される必要があります。

長い表記例)2001:0db8:0000:0000:3456::

短縮例)2001:db8:0:0:3456::

IPv6アドレスの構成

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IPv6アドレスは、ネットワーク上での位置を示す「サブネットプレフィックス」と、サブネットワーク内でのノードを示す「インターフェース識別子」に分けることができます。

サブネットプレフィックス

IPv6アドレスのサブネットプレフィックスは、最初の64ビット(「:」で区切られたフィールドのうち前半の4つ)で構成されます。IPv4におけるサブネットマスクのような役割を果たしますが、IPv4ではその境界が可変だったのに対し、IPv6のサブネットプレフィックスは、64ビットで固定されています。

IPv4では、サブネットワーク内に配置するホストの数を想定して、サブネットワークとノードの境界を自分で設定する必要がありました。しかし、その見積もりは非常に難しく、また後から変更することも困難でした。

一方、IPv6のサブプレフィックスは、64ビットで固定されているため、境界のバランスをとる必要がなく、また利用できるホストの数も十分なため、ネットワーク設計が容易であるという特徴があります。

インターフェース識別子

IPv6アドレスのインターフェース識別子は、最後の64ビット(「:」で区切られたフィールドのうち後半の4つ)で構成されます。IPv4のときと同様に、リンク上でインターフェースを識別するために利用され、同一リンク上で一意であることが必要です。

IPv6アドレスの種類

IPv6アドレスには、以下の3種類があります。

ユニキャストアドレス

ユニキャストアドレスは、ネットワーク上の特定のインターフェースを識別するために使用されます。1対1の通信に使用されます。

例)2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334

マルチキャストアドレス

マルチキャストアドレスは、ネットワーク上の複数のインターフェースに同時に送信されるパケットを識別するために使用されます。1対多の通信に使用されます。

例)ff02:0000:0000:0000:0000:0001:0000:0002

エニーキャストアドレス

エニーキャストアドレスは、ネットワーク上の複数のインターフェースのうち、最も近いインターフェースに送信されるパケットを識別するために使用されます。1対多の通信に使用されますが、マルチキャストアドレスと異なり、送信パケットは1つのインターフェースにのみ配信されます。

例:ff02:0000:0000:0000:0000:0001:0000:0001

IPv6のメリット

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通信規格がIPv4からIPv6に変わると、以下のようなメリットがあります。

  • アドレス空間の拡大
  • 通信速度の向上
  • セキュリティの強化
  • 自動設定機能

アドレス空間の拡大

IPv4と比べて、IPv6は圧倒的に広いアドレス空間を持つ(IPアドレスの数が非常に多い)ため、将来的なインターネットの成長に対応できます。例えば、IoTと呼ばれるような、あらゆるモノがインターネットに接続して通信が行われるという世界を実現するためには、莫大な数のデバイスに割り振ることができるだけのIPアドレスが必要ということです。

通信速度の向上

一般的に、IPv4からIPv6になると、インターネットの通信速度が改善できると言われていますが、これはインターネットの接続方式が変わったことに起因します。

正しくは、IPv4だと以前から使われている「PPPoE」という接続方式しか使えないのですが、IPv6だと「IPoE」という新しい接続方式を使うことができるため、その新しい接続方式を使うことによって通信速度が改善する可能性がある、ということです。

IPoEとPPPoEの違いとは?高速通信が可能と言われる理由を徹底解説
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セキュリティの強化

IPv6はIPsecなどのセキュリティ機能が標準で組み込まれているため、より安全な通信を実現できます。IPsecは、IPネットワーク上で安全な通信を実現するためのセキュリティプロトコルで、精度の高い認証によってなりすましを防いだり、高度な暗号化によって盗聴や改ざんを防いだりすることができます。

自動設定機能

IPv6はDHCPv6などの自動設定機能により、簡単にネットワークに接続できます。DHCPv6は、IPv4で使用されていたDHCPの後継プロトコルで、IPアドレスの割り当てDNSサーバーの設定、クライアントへのデフォルトゲートウェイやMTUなどの設定を自動化できます。

IPv6のデメリット

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IPv6にはメリットが多くありますが、その導入には注意点もあります。デメリットも正しく理解して、IPv6の利用を検討していきましょう。

  • 対応機器が少ない
  • 移行コスト
  • セキュリティリスク
  • 複雑性

対応機器が少ない

IPv6に対応していない機器やサービスがまだ多く存在します。スマートフォンやパソコンなどの主要なデバイスは対応が進んでいるものの、家電製品やIoT機器など、多くの機器はまだIPv4のみの対応となっています。

移行コスト

IPv6移行コストは、機器更新やネットワーク設定変更等で高額になる場合があり、企業にとって大きな負担となる可能性があります。特に、中小企業にとってはコスト負担が重く、移行へのハードルが高いのが現状です。

セキュリティリスク

IPv6のセキュリティ機能は強力ですが、新しい脆弱性が発見されたり、新しい攻撃方法が出現する可能性があります。

複雑性

 IPv4と比べて、IPv6は複雑な技術であるため、知識や経験が必要になります。

IPv6かIPv4か、どちらを選ぶべきなのか

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IPv4に代わるものとしてIPv6が誕生しましたが、移行時期である現段階では、どちらか一方を選ぶのが適切とは言えないかもしれません。前述した通り、IPv4しか対応していないWebサイトやWebサービスもあるため、IPv6しか使えない状況では不具合が生じてしまう可能性があります。

そこで知っておくべき対応策について、ご紹介します。

  • 代表的なWebサービスのIPv6への対応状況
  • IPv4 over IPv6とは?

代表的なWebサービスのIPv6への対応状況

2023年12月現在、多くのWebサービスはIPv6に対応していますが、一部のサービスはまだ対応していない場合があります。

サービス名

IPv6対応状況

Google 検索

YouTube

Facebook

Twitter

Amazon

Yahoo! JAPAN

楽天

LINE

メルカリ

PayPay

IPv6に非対応の代表的なものとしては、地方銀行・信用金庫のインターネットバンキング、一部の証券会社の取引システムなどがあります。

このようなサービスにもIPv6を利用したいという場合は、「IPv4 over IPv6」を使うという方法があります。

IPv4 over IPv6とは?

IPv4 over IPv6は、IPv6環境でIPv4のサービスを利用するための技術です。IPv4パケットをIPv6パケット内にカプセル化して送信するという仕組みです。従来のIPv4と次世代のIPv6の両方の利点を活かせるメリットがあります。

IPv6・IPv4とは?違いや移行する際の注意点も紹介
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IPv6とIPv4の確認方法

そもそもいまの自身の環境で、IPv6接続ができている状態なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。IPv6接続できている状態なのかを確認する方法には、以下の2種類があります。

  • PCから確認する方法
  • 診断サイトを利用する

PCから確認する方法

Windows と Mac、それぞれのOSで、PCから確認する方法をご紹介します。

Windows でIPv6接続を確認する方法

Windows 10 以降のPCで、IPv6の接続を確認する方法はこちらです。

  1. 画面左下の Windows マークを右クリック
  2. 「設定」を選択する
  3. 「ネットワークとインターネット」を選択する
  4. 「ネットワークの詳細設定」を選択する
  5. 「ハードウェアと接続のプロパティを表示する」を選択する
  6. IPv6アドレスの欄を確認する

IPv6アドレスの欄にIPアドレスが表示されていれば、IPv6接続ができる状態であると分かります。

Mac でIPv6接続を確認する方法

Mac OS X Lion(Mac OS X v10.7)以降の Mac で、IPv6接続を確認する方法はこちらです。

  1. 画面左上のリンゴマークから「システム環境設定」を開く
  2. 「ネットワーク」を選択する
  3. 「ネットワーク環境」を「自動」にする
  4. IPv6アドレスの欄を確認する

診断サイトを利用する

IPv6に接続可能かを調べてくれる診断サイトがありますので、これらの診断サイトを使うという方法もあります。

表示の仕方は多少異なりますが、どのサイトもクリックするだけで状況を調べられます。PCから調べるよりも簡単に確認できるので、まずはIPv6に接続しているのかという現状を確認してください。

IPv6接続する方法

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IPv6に接続するには、インターネット回線やプロバイダーの申し込みが必要です。

  1. IPv6対応のプロバイダーや光回線を契約する
  2. IPv6オプションを申し込む
  3. IPv6対応のルーターを用意する
  4. 端末でIPv6の接続設定をする

IPv6対応のプロバイダーは多数ありますので好きなプロバイダーを選び、IPv6オプションを申し込みます。プロバイダーがIPv6オプションを提供しているかだけでなく、IPoE対応であるかも確認しましょう。IPv6対応でも接続方式がPPPoEのみだと、通信速度はあまり改善されないかもしれません。

summaryまとめ

インターネット人口は急速に増加し、いまや世界では53億人以上の人が何かしらのインターネットに接続できる機器を利用しています。1人1台とは限らないため、多くの人がインターネットに接続しようとすると回線が混雑し、通信遅延が起きてしまいます。これを「輻輳(ふくそう)」と呼びます。輻輳を回避するには、前述したIPoE方式のインターネット接続が有効な場合があるため、通信速度が遅いという方は、試してみてください。

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