会社で使っているインターネット回線。ネットワークには正常に接続しているのに、なかなか繋がらなかったり、遅いときがないだろうか。気休めにLANケーブルを抜き差ししてみたり、ブラウザを閉じてみたり、ルーターやハブの接続状況を確認してみても問題がない。だが、契約したはずの回線速度は出ていない。「遅い!」という社内に響く不満の声、イライラして怒鳴る上司、貧乏ゆすりをし始める同僚…そんなITトラブルの負のオーラに苛まれている“情シス”がここにもひとり────

にのまえ はじめ

またネット遅いなぁ…全然繋がらないぞ…
うーん、ヤバい…
みんなイライラしはじめてるぞ(来るぞぉ…)

多田野部長

ちょっと!!
クライアントからのデータが開けないじゃないか!
どうにかしてくれよ!

にのまえ はじめ

(ひぃ、やっぱりぃぃぃ!)
い、今調べてますからーー!
よいしょ…ルーターも問題ないっと…うーん、
一体何が原因なんだ!?

情シスマン

ITトラブルに嘆くそこのキミ!

にのまえ はじめ

あ、あなたは…!?

情シスマン

私はJoshisu Man!
君たち情シスを助ける、ただのヒーローさ!
なになに?
インターネット回線が遅いけど原因がわからない?
よし、私が調査しよう!
まずはこの項目をチェックしてみてくれ!

にのまえ はじめ

当然スループットは出てないし、そういえば午後から夕方頃にかけて遅くなる傾向が …でも社内の設備に何も異常はないし…
ど、ど、どうしたらいいの~?!

──── そのころ、インターネット回線上では ────

トンネルのような灰色の空間で、謎の機械を背負っている男がひとり佇んでいた。あたりに流れている赤い光線がどんどん男の背中に吸い込まれていく。

Dr. Protocol

クククッ…!いいぞ!いいぞ!
トラフィック※が激混みだぞ!
どんどんITトラブルパワーが上がっていく!
フハハハハハッ!

※トラフィック…インターネット回線上を流れているデータたちのこと

情シスマン

(むっ…!?この気配は…)
しっかりしろ!落ち着け…!
なるほど、これは回線網とプロバイダ網の相互接続点でDr.プロトコルが発生させている「輻輳」によるものだ!

にのまえ はじめ

え?ふくそう?
僕のスーツ、何か変ですか?

【原因】~KEYWORD!~

「輻輳」(ふくそう)とは

輻輳とは、多くのものが一箇所に寄り集まって込み合う様態のことを指す。通信の世界で使われる「輻輳」の場合も同様だ。
一箇所にトラフィック(アクセス流量)が集中することで混雑状態となる現象を指している。
例としては、在宅勤務中にオンラインミーティングをしようと思った際、自分1人であれば問題なく行えたのに、別の部屋で奥さんがテレビでU-NEXTNetflixを見ていて、同時に子供がスマホでYOUTUBEを見ていると、オンラインミーティングの音声や画像に支障が出てしまう...といった現象などが挙げられる。
これは自宅のONUや無線LANルータといったネットワーク機器に多くのトラフィックが集中して輻輳が起こったことが要因だ。ネットワーク機器の性能には限界がある。その機器のキャパシティを超過するデータ処理を強いると当然処理が追い付かなくなりパンクしてしまうという理論だ。
ネットワーク機器は「一定時間に処理できるデータ量や処理速度」を示すスループットや、「同時にどのくらい多く接続できるか」を示すセッション数が予め製品情報として記載されている。
スループットは〇kbpsや〇Mbpsなどの数値で記載されており、数字が多ければ処理能力が高いということなのだ。企業で導入する場合は、予めどの程度のスループットやセッション数を要するのかを想定してから購入すると良いだろう。
また、近年では社内での通信にWi-Fiを使うケースも多い。無線LANアクセスポイントの性能チェックも勿論だが、対応しているWi-Fiの通信規格も気にしてみるのはどうだろうか。規格によっても最大速度が変わったり、同時接続の安定性が変わる。
高速Wi-Fiの新規格「Wi-Fi6」について詳しく知りたい方はこちら

「POI(Point Of Interface)の輻輳」とは

自宅や社内LAN等のユーザの管理配下で使っているネットワーク機器であれば、性能の高い機器にリプレースするか、または機器性能に見合ったトラフィックになるようコントロールすることで解決に向かう。しかし、今回にのまえの会社で起こった輻輳は社内LANに原因はなく、回線網(フレッツ網)とプロバイダ網の相互接続点である網終端装置、いわゆるPOIPoint Of InterfaceDr.プロトコルが発生させているものである。


インターネット接続イメージ

参考:POI(Point Of Interface)とは

POIPoint Of Interfaceとは、インターネットに出る前のアクセス回線網(NTTフレッツ網)と各プロバイダ事業者網を網終端装置で接続した箇所のことだ。このPOIで、利用者のユーザ名やパスワード等のチェックを行い認証を得られたユーザがプロバイダ網に接続出来るという仕組みだ。
この工程をPPPoE認証PPP over ETHERNET)といい、PPPoE認証を要するインターネット接続方法をPPPoE方式と呼ぶ。
アクセス回線を高速道路、トラフィックを車だとすると網終端装置は料金所のようなもの。インターネットという目的地にたどり着く手前で各プロバイダ網に入る為に網終端装置を通過しなければならない。ここにたくさんの車がいっきに集まると、当然渋滞が起きてしまう。これがPOIの輻輳である。輻輳はまさに高速道路の渋滞に似ているのだ。

輻輳の原因とは

データ通信量の増加

なぜこのような現象が起きやすくなっているかというと、近年コンシューマーユーザのスマホアプリや動画視聴、企業のクラウドサービス利用の増加などにより、アクセス回線網のデータ流量が急増しているからだ。
国内のインターネット上で流れるデータ量は、2013年ごろから増加傾向にあり、2016年には8,000Gbpsを越えた。これはSNSや動画配信サービスの飛躍的成長が背景にあり、総務省では当時「データ流通量の爆発的拡大」と表現していたが、2020年から新型コロナウイルスの影響で、それを大きく上回る速度でインターネット利用は急増し、ついには20Tbpsに届く勢いとなった。
アクセス回線網内にある網終端装置にトラフィックが集中し、それを捌くのが追い付かなくなったのは当然の結末と言えるだろう。

我が国のインターネットにおけるトラフィックの集計・試算(固定ブロードバンドサービス)
出典:総務省「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」

通信技術の影響

国内で最も契約数が多いフレッツ光や、それを転用した光コラボサービスなどは「共有型回線」といって、近隣のユーザ同士(企業や個人宅)で1本の回線をシェアして利用するサービスだ。

その為、比較的安価に利用出来るというのがメリットなのだが、他のユーザが大きな容量のデータを送受信している場合や、シェアしている者同士で同じ時間帯にインターネットを利用する等、多量のトラフィックが一度に集中してしまうと、回線網内の共有部分で混雑状態となってしまう。
これは、高速道路でいうと料金所にたどり着く以前にジャンクションの合流で渋滞が起こってしまう現象と類似しているだろう。

インターネット接続イメージ

輻輳がもたらす問題

一度輻輳状態になると、たとえユーザがインターネット利用を控えたとしても直ぐに解消する事はなく、むしろ悪化する一方という可能性が高い。
通信の世界では端末同士がやり取りする際、多くの場面で通信の信頼性を確保する為のスリーウェイハンドシェイクという接続手順が利用されている。これはデータの送受信を行う際に、送信側と宛先側の双方で「今からデータ送るよ」「じゃあ受け取るね」「届いたよ」のような応答手順を踏む約束事である。
輻輳が発生して通信速度が遅くなったりパケットロスが発生すると、相手からの応答も遅くなったり、そもそも応答がなかったりするわけだが、「データ送ったよ」の後に一定時間「届いたよ」という返事がない場合、再度同じデータを送信する仕組みになっており、これは「届いたよ」と返答があるまでずっと繰り返す事になるので、過去のアクセスが完了しないままトラフィックが倍増していくことになる。
勿論その間少なからず新たなアクセスも発生するわけなので、輻輳は一度発生するとなかなか解消できないのだ。
ユーザ目線で起こる問題としては、WEB会議中に相手の音声画像が欠落したり、ファイルのアップロードがなかなか終わらなかったり、タイムアウトにより接続が中断させられたりといったところだろう。業務に支障が出るのは確実だ。

にのまえ はじめ

うーん、うちの会社は共有型回線かも…
でもこれじゃあ僕たち、手も足も出ないじゃないですか!
どうすればいいんですか!?網終端装置は、どこに行けば買えるんですか!?

情シスマン

残念だが、買うことはできない…
しかし、解決策はある!まずは輻輳の時の対策についていくつか紹介していこう。

輻輳の対策

近年、POI(網終端装置)で起こる輻輳が多くなってきている印象だ。
POIで起こる輻輳はプロバイダ(ISP)事業者では改善できず、網終端装置を運用しているNTTが設備増強をしてくれるのを待つしかない。
ただ、NTTの増強基準は一つのPOIに対して基準値を超過するユーザ数(セッション数)を超えることである(2022年現在)。
過去、インターネット利用といえば、メールとかブラウジングが主だったのに対して、動画配信サービスを見たり、企業でもクラウドサービスを複数使うなど容量の大きい通信をするようになっている。
現代では1セッションあたりのトラフィック量が多くなっているため、ユーザ数が増強基準に届く前に輻輳が起きてしまう。NTTの増強基準が変わらない限り、POIでの原因解消は難しいのだ。

とはいえPOI(網終端装置)で輻輳が起こった場合、残念ながらエンドユーザに改善させることはできない。
現時点での対応方法は以下になる。

  1. まだ輻輳が起こっていない別のプロバイダサービスに切り替える
  2. PPPoE方式のプロバイダからIPoE方式のプロバイダサービスに切り替える
  3. PPPoE認証を認証を不要としたイーサネットで接続できる回線に切り替える

直ぐに対策を講じたい場合は1が最もスピーディに改善できる。費用も現状と大差ない金額で見直す事が出来るのは魅力だ。しかし別のプロバイダサービスに切り替えたところで、切り替えた後のプロバイダで輻輳が発生するリスクはついて回る。
次に手軽なものが2である。IPoE方式であればPPPoE認証は不要である為、網終端装置を経由せずにインターネットに抜ける事が出来るので、POIの輻輳リスクからは解放される。
しかし、アクセス回線に共有回線を採用していれば、他ユーザとシェアすることで発生する共有部の輻輳リスクは解消されない。
最も有効なのが3だが、共有型のPPPoE認証が必要なインターネット接続サービスと比べると値が張ること、また契約から納品まで数ヶ月要するという点がネックとなるだろう。

要するに、国内のトラフィック流量が引き続き増加傾向である現在は、輻輳が起こって業務に支障が出てから切替を検討するのではなく、前もって中長期的な予測を立てながらインターネット接続サービスを選定するということがポイントであると言える。

※テレワーク普及下でも安定する社内インターネット回線の選定方法についてはこちら

輻輳状況のチェックの流れ

ここまででPOI(網終端装置)の輻輳を主軸に解説してきたが、実際ネットが遅いな~...と思っていても原因がそこにあるかどうか直ぐに気が付く事は出来ないだろう。何が原因なのかある程度判断する為に、以下を参考にして頂きたい。

まず通信が遅いと感じている人は自分だけなのか?他の人もそうなのか?影響範囲を調査することが必要だ。自分だけなら自分のPCが不調なのかもしれないし、デスクが近しい数名だけならアクセスポイントやハブ、スイッチに問題があるのかもしれない。通信が遅いと感じてる人のPCが集約されるネットワーク機器を疑っていくという順序で徐々に上流に向かい原因箇所を特定していこう。

1:影響範囲を調査
PCやスマホなど、通信遅延を感じるエンドポイントはどれなのか?
そのフロアだけなのか?本社全体なのか?地方支社もそうなのか?など従業員の声を聞こう
2:原因要素を調査
何をする時に遅いと感じるのか?
無線LANにつないだ時だけ遅い、あるクラウドサービスを触る時だけ遅い、といった特定の動作がきっかけになっている場合は、そのシステム側に問題があるかもしれない。
3:通信事業者側に問合せ
社内全体で恒常的に通信遅延が発生すると予想される場合には、大元のONUやメディアコンバータを再起動してみると良い。それでも解消しなければ回線事業者やISP事業者にインターネット網内で輻輳や障害が起こっていないか問い合わせてみると良いだろう。輻輳が起こっていればここで回答がもらえるはずだ。

※ONUやメディアコンバータとは...オフィス側にあるインターネット回線の終端装置のこと

にのまえ はじめ

チェックしたら社内の問題じゃなさそうでした…
そしたらうちの会社の回線、速くならないということなんですか…

情シスマン

安心しろ!そういう企業のために、用意している回線がある!
これだッ!光ファイバーテイル!

~Joshisu Man Equipment①:光ファイバーテイル~

光ファイバーを束ねたようなウィップ型ソード。ひと振りでネットワークにまつわるアレコレを解決できる

にのまえ はじめ

!?!?!?

情シスマン

これで一度、回線の状況を見てみよう
ONUを借りるぞ!(ガキィィィィン!!)

ONUに光ファイバーテイルを振りかざすJoshisuMan
すると、あたりが一瞬にしてトンネルのような空間に切り替わった。灰色の霧が広がり、薄暗い。
しばらく進んでいくと、トンネルの先に光が渦巻いている。プロバイダと回線網を相互接続するの網終端装置だ。
その前に謎の男の影が浮かび上がる。

Dr. Protocol

な、なんだキサマは!?

情シスマン

私は、世界の情シスを助けるJoshisuMan!
おまえ、ここで何をしている!
なるほど、膨大なトラフィック量を発生させていたのはお前か!

Dr. Protocol

クククッ!よくわかったな…!この輻輳によるITトラブルのパワー…実にイイ!
トラフィック量に比例して、社内の負の感情も膨らんでいく…まさに私が求めていたエネルギーだ!

情シスマン

エネルギー…?何のことだ?
まぁいい、すぐにここから出ていってもらうぞ!
光ファイバーテイル!(ガキィィィィン!!)

Dr. Protocol

(ガキィッ!と、ファイバーテイルを跳ね返す)
フハハハハ!残念だったな!私が増加させたトラフィック量はごくわずか…
そもそもこの回線には会社からのトラフィックに加え、一般家庭からのアクセスも集中している!複数ユーザーでシェアしている回線なのだよ!

情シスマン

フッ…!では、これならどうだッ!
USEN GATE 02「プレミアインターネット」

Joshisu Manが掲げた光ファイバーテイルに稲妻が走り、青い光が宿る。
そのまま振り下ろすと、鏡が割れるようにトンネル空間が、崩れ去り、穏やかな水色の空間が広がった。

Dr. Protocol

ナニッ…!?なんだ、これはっ!?

情シスマン

悪いがインターネット回線ごと、USEN GATE02に変えさせてもらった
ここは1社専有型回線だ!

Dr. Protocol

なっ…!?バカな!
光ファイバを使っていることに変わりはないが…1社専有型回線だと!?
なぜこんなにトラフィックが快適に流れているんだ!?クソッ!

情シスマン

USEN GATE02は1社専有型の光ファイバ回線だ
一般家庭など他ユーザーから発生する通信量の影響は受けない
更にはプロバイダ一体型だからオフィスからインターネットまでダイレクトに繋げることができる!さっさとあきらめるんだな…!

Dr. Protocol

チッ…仕方ない!ここはいったん退いてやろう!JoshisuManか…覚えておいてやる!
(ブォン)

情シスマン

(行ったか…アイツは一体…?)

──── そして会社にて ────

にのまえ はじめ

ん!?なんだ!?急にネットが速くなったぞ!
デザインや動画データ、重いトラフィックもサクサクだ!ありがとう、JoshisuMan!

情シスマン

無事、解決したようだな…
強い情シスが企業を伸ばす!また会おう!さらばだ!

【解決】~ICT SOLUTION!~

社内設備や機器などに異常がないにも関わらず、インターネット回線が遅かったり、前よりも速度が落ちたような気がすると感じたら、今使っている回線の契約内容を見直してみよう。契約内容がわからない、もしくは自社に適したプランかどうかわからない場合は、プロバイダのサポートデスクなどに問い合わせてみること。もちろんUSEN GATE021社専有型インターネット回線が気になるという情シスマンがいたら、迷わずサービス詳細ページへ飛んでほしい。

「USEN GATE 02―Internet Access Solution―」

・1社専有型の光ファイバで高速、快適なインターネット環境を提供
・回線&ISPの自社一括提供でオフィスからインターネットまでダイレクトに繋がる
・高額なシステムを使わず、敷設コスト削減で利用しやすい料金に
・DNSホスティング、監視など情シス担当者をバックアップするテクニカルサポート、オプションも充実


TO BE CONTINUED…

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テレワーク普及下でも安定する社内インターネット回線の選定方法

会社のインターネット回線の見直しを考えている方、テレワーク導入にあたり快適性に懸念がある方、テレワークを導入したはいいものの社内システムへのアクセスや会社を経由するインターネット環境に不満が出ている方向けに、安定するインターネット回線の選び方について解説しています。

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