組織で ChromeOS を導入するメリット・デメリットを解説|Windows・macOS との違いと失敗しない選び方
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「パソコンの管理に多くの時間を取られ、本来の業務に集中できない」
「セキュリティ対策やソフトウェアの更新作業が煩雑で、IT部門の負担が大きすぎる」
このような課題に苦慮している企業は少なくありません。現代のビジネスでは、従業員が使うパソコンの管理やセキュリティ対策、トラブル対応など、IT部門の業務は増える一方です。
このような状況で関心を集めているのが、「ChromeOS」です。
そこで今回は、「組織で使う ChromeOS」をテーマに基本的な仕組みから導入のメリット・デメリット、具体的な導入手順までわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- ChromeOS の基礎知識
- 組織導入の具体的なメリット・デメリット
- ChromeOS 導入に向いている企業・部門と導入ステップ
ChromeOS とは?
「ChromeOS」とは、Google が開発した、Webブラウザ「Google Chrome」をメインインターフェースとするOS(オペレーティングシステム)です。
従来の Windows や macOS が「PC本体にソフトウェアをインストールし、データを保存する」というローカル完結型の設計であるのに対し、ChromeOS は「すべての作業をクラウド上で行う」ことを前提に設計されているのが最大の特徴です。
ChromeOS の仕組みと特徴
Webブラウザが基盤
業務のほとんどをWebブラウザ上で完結させるスタイルに最適化されています。
データはクラウドへ
ファイルはローカルではなく Google ドライブなどのクラウドストレージに保存されるため、デバイスが故障・紛失してもデータが失われません。
自動更新システム
OS自体がバックグラウンドで常に最新の状態にアップデートされるため、ユーザーが更新作業を意識する必要がなく、常に高いセキュリティが維持されます。
ChromeOS Flex という選択肢
近年、特に法人で注目されているのが、既存の Windows PC や Mac にインストールできる「ChromeOS Flex」です。 古いPCでも ChromeOS を載せることで、動作が軽快なセキュアな端末として再利用できるため、ハードウェアのリプレイスコストを抑えたい企業にとって効果的なソリューションとなっています。
組織で ChromeOS を使うメリット
組織で ChromeOS を使う主なメリットは以下の3つです。
- 高度なセキュリティ構造
- 圧倒的な起動スピードと「止まらない」業務環境
- 管理者の負担を減らす「運用性」
高度なセキュリティ構造
ChromeOS は、設計段階からセキュリティを最優先しており、以下のような機能が備わっています。
サンドボックス構造
各タブやアプリが独立した仮想環境で動作するため、万が一悪意あるサイトにアクセスしても、OS全体や他のアプリに被害が及ぶことはありません。
読み取り専用OS
システムファイル自体が書き換え不可(Read-only)であるため、OSの深部にウイルスが居座ることが構造的に不可能です。
検証済みブート
起動のたびにシステムが破損・改ざんされていないかを自己チェックし、異常があれば自動で修復します。

圧倒的な起動スピードと「止まらない」業務環境
「PCの起動を待つ」「更新プログラムで作業が止まる」といったダウンタイムは、企業の生産性を下げます。
ChromeOS の場合、多くのデバイスで10秒かからずにログイン画面が表示されます。また、OSのアップデートは作業の裏側で完了しており、再起動時に一瞬で切り替わります。Windows のように「更新してシャットダウン」で数十分待たされることはありません。
管理者の負担を減らす「運用性」
1,000台規模の端末を管理する場合でも、ChromeOS なら管理者の作業時間を劇的に削減できます。
キッティングの自動化
後述する「ゼロタッチ登録」により、端末を開封してWi-Fiに繋ぐだけで、必要な設定やアプリが自動適用されます。
クラウド一元管理
ブラウザ上の管理画面から、すべての端末のポリシーを一斉に変更・制御可能です。
導入前に知っておくべき ChromeOS のデメリット
ChromeOS は多くのメリットを持つ一方で、従来の Windows 環境とは設計思想が異なるため、導入にあたっては以下の制約を理解しておく必要があります。
- Windows 専用アプリが直接動作しない
- 高度な編集・保存には不向き
- オフライン時の制限
- 周辺機器のドライバー対応
- Microsoft Office との完全な互換性
Windows 専用アプリが直接動作しない
Windows 専用に開発されたデスクトップアプリ(会計ソフト、特定の業務用パッケージ、一部の専門的なクリエイティブソフトなど)を直接インストールすることはできません。
Web版への移行や、仮想デスクトップ(VDI)、ブラウザベースでの代替手段を検討する必要があります。
高度な編集・保存には不向き
ローカルストレージ(本体の保存容量)が少ないモデルが多く、大容量の動画編集や膨大なCADデータを本体に保存して作業するような業務には向いていません。
オフライン時の制限
Google ドキュメントなどはオフラインでも編集可能ですが、ブラウザベースのツールの多くはインターネット接続ができない環境では機能が制限されます。
周辺機器のドライバー対応
独自のドライバーのインストールが必要な古いプリンターやスキャナー、特殊な外付けデバイスは動作しない可能性があります。
近年の「ネットワークプリント」や「ドライバーレス印刷」に対応した機器であれば問題ありませんが、既存の備品との相性確認は必須です。
Microsoft Office との完全な互換性
Web版の Office(Microsoft 365)や Google スプレッドシートを使用することになりますが、Excel の高度なマクロやVBAを駆使したファイルは、そのままでは正常に動作しません。
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組織での活用を支える「Chrome Enterprise」とは?
ChromeOS 搭載デバイス(Chromebook など)を単なる個人のPCとしてではなく、組織の資産として安全かつ効率的に運用するために重要なのが「Chrome Enterprise」です。
Chrome Enterprise は、もともと企業向けの Chrome 製品・サービスの総称として使われていました。現在では、ビジネスでのブラウザ利用を最適化するためのソリューション全体を指す言葉となっています。
組織で導入を検討する際に重要なのが「何を管理したいのか」という視点です。Chrome Enterprise は、大きく「ブラウザを管理するもの」と「デバイスを管理するもの」に分類できます。
サービス名 | 主な目的・用途 | 価格 |
|---|---|---|
Chrome Enterprise Core | Chrome ブラウザを無料で管理するための機能 | 無料 |
Chrome Enterprise Premium | Chrome ブラウザの高度なセキュリティ機能 | $6/月(1ユーザーあたり) |
Chrome Enterprise Upgrade | ChromeOS デバイスを管理するためのライセンス | 7,000円/年(1台あたり) |
※2026年1月時点の情報を掲載しています。
ブラウザを管理する:Chrome Enterprise Core/Premium
これらは、Google Cloud のゼロトラスト・アーキテクチャである 「BeyondCorp Enterprise」 を前身としています。支払いは、Google Cloud(旧 GCP)上で課金され、Google Cloud の請求アカウントに紐づくユーザー単位での支払いとなります。
※Chrome Enterprise Core は無料で利用可能です。
Chrome Enterprise Core の機能
Windows、macOS、Linux などすべてのOSで稼働する企業利用の Chrome ブラウザを対象としており、拡張機能の制限やお気に入りの配布といったブラウザ設定の一元管理、およびシャドーITの防止を実現します。
Chrome Enterprise Premium の機能
Core の機能に加え、セキュリティ機能を高めた上位版です。
具体的には、データ損失防止(DLP)により、機密情報のアップロードやコピペを制限します。また、高度なマルウェア・フィッシング対策、アクセス制御(ゼロトラスト)が可能です。
「情シスマン」を運営するUSEN ICT Solutionsは Google Cloud のプレミア パートナーであり、Google Cloud、Chrome Enterprise Core/Premium が利用可能な Google Cloud を提供しています。
Google Cloud、Chrome Enterprise Core/Premium の導入に関するご相談はこちら
デバイスを管理する:Chrome Enterprise Upgrade
Chromebook などの ChromeOS 搭載デバイスを組織の資産として一元管理するためのライセンスです。
契約は Google Workspace などと同様にサブスクリプション形式であり、Google Cloud の課金体系とは完全に切り離されています。デバイス1台ごとにライセンスを購入する「ハードウェア管理」に特化した仕組みです。
主な機能としては、紛失時のリモートワイプ(データ消去)やUSBポートの無効化、Wi-Fi設定の一括配布などが挙げられます。最大のメリットは、「ゼロタッチ登録」により、管理者が端末に触れることなく、社員の手元に届いた時点で社内規定の設定が適用される点です。

ChromeOS・Windows・macOS の比較
法人利用において、主要な3つのOSを「管理・コスト・柔軟性」の観点で比較してみましょう。
ChromeOS | Windows | macOS | |
|---|---|---|---|
管理コスト | 低い(クラウド一括) | 高い(更新・設定が複雑) | 中〜高(専用MDMが必要) |
アプリ互換性 | 低い(Web・Android・VDI) | 高い(デスクトップアプリ) | 高い(特定のプロ向けソフト) |
価格帯 | 低〜中価格帯 | 低〜高価格帯 | 高価格帯 |
※上記は一般的な傾向であり、選択するモデルや導入環境、運用方法によって異なる場合があります。
ChromeOS 導入に向いている企業・部門
以下のような特徴を持つ企業や部門は ChromeOS 導入に向いていると言えるでしょう。
- 複数の拠点や多店舗を展開している企業
- 営業活動やフィールドワークが多い企業
- 共有端末を利用する職場
複数の拠点や多店舗を展開している企業
小売店、飲食店など、各拠点のPCを担当者が訪問してメンテナンスするのは困難です。ChromeOS なら、本社から一括でポリシーを管理できるため、物理的な移動コストを減らすことができます。
営業活動やフィールドワークが多い企業
外での利用が多い部署に最適です。起動が速く、バッテリーも長時間持続します。また、本体にデータが残らないため、万が一紛失した場合でも情報漏えいリスクを最小限に抑えることができ、高いセキュリティニーズに対応します。
共有端末を利用する職場
1台のPCをシフト制で複数人が使う職場にも最適です。ログインするだけで各個人の環境が即座に同期され、ログアウトすればデータが残らないクリーンな状態に戻ります。
失敗しないための導入ステップ
ChromeOS の導入で後悔しないためには、一斉導入する前に以下の3つのステップを踏むことを推奨します。
- 現在の業務とアプリを棚卸する
- 検証機での「現場テスト」
- Chrome Enterprise Upgrade の活用検討
Step1. 現在の業務とアプリを棚卸する
ChromeOS 導入を検討し始めたら、まずは現在の業務内容と使用しているアプリケーションを詳細に把握するところから始めましょう。以下の項目をリストアップしてみてください。
- 各部署でどのようなソフトウェアを使っているのか
- どの業務がインターネット接続を必要とするのか
- オフライン作業はどれくらいあるのか
- 業務に不可欠なソフトウェアが ChromeOS 上で動作するのか
こうした棚卸作業により、ChromeOS で対応できる業務と対応できない業務が明確になります。全社で一律に ChromeOS に移行するのが難しい場合でも、一部の部署や業務だけを対象にすることで導入が可能になる場合もあります。
Step2. 検証機での「現場テスト」
特定の部署(例:営業部門や店舗スタッフ)を対象に、数台のテスト端末で実際の業務を行ってもらいます。ここでプリンター出力や特定サイトの挙動、オフライン時の不便さがないかを確認します。
Step3. Chrome Enterprise Upgrade の活用検討
組織としてより高度なガバナンスを効かせたい場合は、管理ライセンス(Chrome Enterprise Upgrade)の活用を検討することをおすすめします。これを導入することで、紛失時のリモートデータ消去やUSBメモリの使用制限といった、法人レベルのセキュリティ対策をより確実かつスムーズに実施できるようになります。
さらに詳しく知りたい方へ
導入のステップがイメージできたら、次は具体的な「デバイス選び」と「管理機能の活用」の検討に入りましょう。業務内容によって最適なスペックは異なります。
以下の記事では、法人利用に欠かせない管理機能の深掘りと、失敗しない端末選びのポイントを詳しく解説しています。
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ChromeOS は、サンドボックス構造や読み取り専用OSといった仕組みにより、構造的に極めて高いセキュリティを誇ります。また、運用面では「Chrome Enterprise Upgrade」を活用したクラウド一元管理や、キッティングを自動化する「ゼロタッチ登録」により、管理者の負担を劇的に軽減できるのが最大の魅力です。
一方で、Windows 専用アプリが直接動作しないことや、高度なマクロを使用した Excel ファイルとの互換性、オフライン環境での制限など、導入前に把握しておくべき注意点も存在します。
これらを理解した上で、自社の業務スタイルに合わせた最適なデバイスやプランを選ぶことが、導入成功の鍵となります。
ChromeOS や Chromebook に関する詳細な情報や導入のご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。