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column_2202025.07.28

人事DX(HRDX)とは?代表的な取り組みや進め方、推進のポイントを解説

著者:情シスマン
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「人事DXという言葉を耳にする機会が増えたけれど、結局どんな取り組みなのかわからない」
「人事部もDXを推進したいと考えているけど、どんな取り組み方法があるのかわからない」

このような疑問を持っている方は多くいます。また、人事業務は多岐に渡るため、どこから手をつければいいのか迷ってしまう担当者もいるでしょう。

そこで本記事では、「人事DXの意味から具体的な実践例」までわかりやすく解説します。人事DXを推進するにあたって意識したいポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

<この記事でわかること>

  • 人事DX(HRDX)について
  • 人事DXの代表的な取り組み
  • 人事DXを推進する手順
  • 人事DXを推進する際に意識したいポイント

【そもそも】DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、単にITツールを導入するだけでなく、デジタル技術を活用してビジネスの仕組みや組織全体を変革することを指します。デジタル化が目的ではなく、それによって新たな価値を創出し、変化の激しい市場環境に対応していくことがDXの本質です。

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人事DX(HRDX)とは

「HRDX」とも呼ばれる人事DXは、単なる人事業務のデジタル化ではなく、テクノロジーを活用して人事の仕組みや戦略そのものを変革する取り組みです。採用や評価、育成といった従来の業務を効率化するだけでなく、データを活用した戦略的な人材マネジメントを目指します。

近年、少子高齢化による人手不足や多様な働き方の広がり、テレワークの普及といった環境変化を受けて、企業における人事の役割も大きく変わってきました。人材の採用・定着・育成をいかに効率的かつ柔軟に行うかが、企業の競争力を左右する重要な課題となっています。その中で注目されているのが「人事DX」です。最新のテクノロジーを活用し、人事業務の効率化だけでなく、従業員エンゲージメントの向上や組織力の強化を目指す動きが広がっています。

HRテック・HRISとの違い

人事DX(HRDX)と似ているものに、「HRテック」と「HRIS」があります。

「HRテック」は人事領域にテクノロジーを活用する取り組み全般を指します。ビッグデータやクラウドサービス、AIなどを活用して、採用・勤怠・評価・育成などの人事業務を効率化・高度化するのが特徴です。

一方の「HRIS(人事情報システム)」は、人事情報の一元管理に特化したシステムを指します。従業員の基本情報や勤怠、給与、評価などの人事データを正確に管理・運用することが目的です。つまり、HRISは人事データの基盤といえるでしょう。

「人事DX」は、HRテックやHRISを活用して、人事業務を根本から変革する取り組みです。業務効率化だけでなく、人材情報の一元管理やデータ分析による戦略的な意思決定を可能にし、企業の競争力向上につなげることを目的としています。HRテックの導入はその手段であり、HRISはその基盤を支える重要な要素といえるでしょう。

人事DXのメリット

ここでは、人事DXによって得られるメリットを紹介します。

  • 業務効率化による生産性向上
  • データの活用による人事戦略の最適化
  • 従業員体験の向上

業務効率化による生産性向上

勤怠管理や給与計算、各種申請といった日々の定型業務にかなりの時間と労力を割いている人事部門も少なくありません。これらの業務をデジタル化・自動化することで、人事担当者の業務負担は軽減され、これまで定型業務に割かれていた時間を人材育成や組織開発、人事戦略の策定といった、より戦略的で付加価値の高い業務に充てられるようになります。これにより、人事部門全体の生産性が向上し、組織全体の成長に貢献することが期待できます。

データの活用による人事戦略の最適化

DXによって人事データを一元管理し、可視化・分析することが可能になります。離職リスクの早期把握や、スキルの棚卸し、パフォーマンスの評価など、データに基づいた施策を打てるようになり、より効果的な人事戦略を実現できます。

従業員体験の向上

クラウドサービスの活用やペーパーレス化が進むことで、リモートワークなど多様な働き方が可能になります。さらに、従業員のスキルや成果を可視化し、適切に評価・支援することで、モチベーションやエンゲージメントの向上も期待できます。従業員の満足度を高めることで、定着率の向上や企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

人事DXの代表的な取り組み5選

人事DXを成功させるには、まず現場の業務をデジタル技術で支援することが基盤となります。ここでは、実際に多くの企業が導入している代表的な5つの取り組みを紹介します。

  • AI活用
  • HRIS(人事情報システム)の導入
  • タレントマネジメントシステムの導入
  • 採用管理システムの導入
  • エンゲージメントサーベイの導入

AI活用

AIは、人事領域でもさまざま場面で活用されています。たとえば、以下のような業務効率化や精度向上に活かされています。

  • 応募者のスキルや適性を自動スコアリング
  • 面接日程の調整やリマインドメールの自動送信
  • チャットボットによる応募者・社員からの問い合わせ対応
  • 社員のスキルや実績を分析し、適材適所の配置サポート

このように、AIを活用することによって人事部門の負担を軽減しつつ、より質の高い判断が可能になります。

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HRIS(人事情報システム)の導入

HRIS(人事情報システム)は、人事情報を一元管理するためのシステムです。従業員の基本情報から勤怠・給与・評価・異動履歴などをデータベースで管理することで、人事業務を効率化します。

HRISを導入することで、人事戦略に必要なデータがいつでも誰でもアクセスできる状態になり、特定の担当者しか情報を持たないといった属人化の防止にもつながります。また、部署ごとに構築していた人事管理システムを統合できれば、組織編成や人材評価といった面でも活用できるでしょう。

タレントマネジメントシステムの導入

タレントマネジメントシステムは、従業員のスキルや適性、評価、キャリア志向を可視化し、最適な人材配置や育成を支援するツールです。従来は、属人的な判断や経験則に頼っていた人材マネジメントも、データに基づいた分析を行うことで、より戦略的な人材配置や育成計画を立てられるようになります。

採用管理システムの導入

人事業務の中でも、採用活動は特に多くの時間と労力を要します。応募者対応や面接調整、選考結果の共有などの細かな作業が多く、担当者の負担も大きくなりがちです。また、情報が分散していると、社内での連係ミスや対応の遅れが生じるリスクもあります。

採用管理システムを導入することで、候補者の情報や選考結果を一元管理でき、効率的な採用活動が可能になります。応募者に向き合う時間も増え、より選定に力を入れやすくなるでしょう。

エンゲージメントサーベイの導入

従業員のモチベーションや職場への満足度は、日々の業務の中では見えづらく、問題が表面化したときにはすでに離職リスクが高まっているケースも少なくありません。そうした従業員の状態を早期に把握し、改善につなげるために活用されているのが「エンゲージメントサーベイ」です。

定期的に簡単なアンケートを実施することで、従業員の満足度や課題、職場の雰囲気などをデータとして可視化できます。個人単位ではなく部署ごとの傾向を把握し、働きやすい職場づくりや組織改善につなげることで、離職の予防やパフォーマンス向上に役立てることができます。

人事DX(HRDX)を推進するおすすめの手順

人事DXを成功させるためには、いきなりツールを導入するのではなく、段階的に手順を踏んでいくことを心がけましょう。ここでは、以下の4つの手順にわけて解説します。

  1. DXの目的を明確にする
  2. 業務フローと現状の課題を棚卸する
  3. 必要なツールを導入する
  4. 効果を測定し、改善を重ねる

Step1.DXの目的を明確にする

まず最初に、「なぜ人事DXを進めるのか」「どのような価値を創出したいのか」を明確にすることが重要です。たとえば、以下のような目的が考えられます。

  • データを活用して戦略的に人材配置や育成を行いたい
  • 採用を強化したい
  • 従業員のエンゲージメントや定着率を改善したい

このステップを飛ばしてしまうと、「便利そうだから導入したが使われない」「システムを入れて満足してしまう」といった事態を招きかねません。DXは手段であって目的ではないことを意識し、経営層や人事部門で目指すゴールをすり合わせておくことが大切です。

Step2.業務フローと現状の課題を棚卸する

次に、現在の人事業務の流れやシステムの現状を整理・把握します。どこに課題やボトルネックがあるのかを明らかにすることで、何を改善すべきかが見えてきます。たとえば、「人事業務がどのような手順で行われているのか」「紙に依存している業務がどれだけあるか」といった点を確認します。また、「人事データがどこでどのように管理されているか」「他部門との連携に課題がないか」といった視点も重要です。

Step3.必要なシステムを導入する

人事DXを推進するには、現状の課題に対して最適なシステムを選定・導入することが重要です。単に最新のシステムを導入するのではなく、「自社の業務フローに合っているか」「社内で活用できる体制があるか」といった視点で慎重に検討する必要があります。

また、ベンダーの選定も重要なステップです。導入実績やサポート体制、機能の柔軟性、セキュリティ対策などを総合的に評価し、自社に最適なパートナーを選びましょう。導入後も改善提案や伴走支援をしてくれるベンダーであれば、長期的な成果につながるでしょう。

Step4.効果を測定し、改善を重ねる

システムを導入して終わりではなく、その効果を定期的に測定し、必要に応じて改善していくことが人事DX成功の鍵です。具体的には、業務の効率化がどの程度進んだか、従業員のエンゲージメントに変化があったか、評価や育成のプロセスにどのような成果が現れたかなどを定量・定性の両面から振り返ります。

測定結果は、次にどのような施策を打ち、どのようなシステムを導入すべきかを判断するための重要な情報源となります。人事DXは、一度着手して終わりではなく、PDCAサイクルを通じて継続的に改善と進化を重ねていくという意識が重要です。

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人事DXを推進する際に意識したいポイント

人事DXを効果的に進めるためには、技術面だけでなく運用やリスク管理にも注意が必要です。ここでは、特に意識したいポイントを2点ご紹介します。

  • セキュリティ・プライバシー対策の徹底
  • ピープルアナリティクスを取り入れる

セキュリティ・プライバシー対策の徹底

人事DXでは大量の個人情報や機密データを扱うため、情報セキュリティの確保が不可欠です。適切なアクセス管理や暗号化、定期的な監査を行うことで、情報漏洩えいや不正アクセスのリスクを低減できます。

また、クラウドサービスを利用する場合は、信頼性やセキュリティ対策が十分に整っているか事前に確認することも大切です。セキュリティを軽視すると、企業の信用失墜や法的リスクにつながるため、慎重な対応が求められます。

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ピープルアナリティクスを取り入れる

ピープルアナリティクスとは、人事データを収集・分析し、採用・配置・育成・離職防止などの意思決定に活かす取り組みです。データに基づいた判断を行うことで、属人的な評価や勘に頼る場面を減らし、より公平で戦略的な人材マネジメントが可能になります。たとえば以下のような分析が挙げられます。

  • 高評価の社員の共通項を分析し、育成方針に活かす
  • 離職率が高い部署や年代の傾向を把握し、早期対策を講じる
  • 従業員のエンゲージメントやストレスを把握し、職場環境を改善する

ピープルアナリティクスはツールさえ導入すれば自動的に成果が出るわけではなく、「何のために」「どの指標を使って」「どのような意思決定につなげるか」を明確にすることが大切です。

まとめ

人事DXは単なるIT導入ではなく、人と組織の可能性を最大化するための取り組みです。手間のかかる作業を効率化するだけでなく、社員の意欲や能力を見える化し、戦略的な人材活用へとつなげることができます。

SmartHRでは、人事・労務管理の効率化はもちろん、タレントマネジメントやピープルアナリティクスといった高度な人事戦略を支援する機能も充実しています。人事DXをこれから本格的に進めたい方は、ぜひSmartHRの導入をご検討ください。

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