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2026.05.29

【日本HPが語る③】「未知の脅威」を無力化。PCメーカーのHPが独自で作った「ソフトウェア防御」とは

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第2弾のインタビューでは、OSが起動しなくても自力で復旧する「HP Sure Recover」や、電源オフでも紛失PCを追跡・消去できる「HP Protect and Trace with Wolf Connect」など、HPならではの「ハードウェアによる究極のBCP対策」について伺いました。

「PC自体が自らを修復し、データを守る」という頼もしさを実感した一方で、読者である中小企業の現場担当者からは、「機能が優れているのは分かったが、日々の運用やソフトウェアの管理はどうすればいいのか?」という声も聞こえてきそうです。

最終回となる第3弾では、ハードウェアの強固な基盤の上で、日々の「運用管理の手間」をどのように減らし、未知の脅威から身を守るのか、HPのソフトウェアソリューションについてお伺いします。

第3弾の重要な背景となる第1弾、第2弾もあわせてご確認ください。

※本記事はサイバーセキュリティに関する啓発や考察を目的としています。特定の企業・団体を批判する意図は一切ありません。

【日本HPが語る①】なぜ復旧に時間がかかるのか?~大企業も陥る罠と、日本HP独自の「ハードウェア防御」とは~
日本HPのエヴァンジェリストである木下様に3つの異なるテーマを基にインタビューを行いました。今回は第1弾として大企業でも防げないランサムウェア被害の背景にある「人間の脆弱性」と「MaaSの台頭」を解説いただきます。中小企業も標的となる中、AIで高度化する脅威に対抗するための「ハードウェア防御」の重要性を説くインタビューです。
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【日本HPが語る②】情シス不在でも事業を止めない。HPのPCが実現する「究極のBCP対策」
日本HPの木下氏に聞くインタビュー第2弾。情シス不在の中小企業が直面する「PC復旧の壁」をどう乗り越えるか。独自の専用チップ「ESC」によるBIOSの自動修復や、電源オフでも遠隔消去が可能な最新技術など、PC自体が自律して事業を守る「現場のBCP対策」を具体的に解説します。
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取材協力

木下 和紀 エドワルド 氏

株式会社 日本HP
ワークフォースソリューション事業本部 ソリューション技術部
日本HP セキュリティエバンジェリスト

2008年日本ヒューレット・パッカード株式会社に入社。分社時はヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)に。客先常駐のサーバー(Wintel/Unix)エンジニアを務め、その後Account Security Officer(顧客向けセキュリティ担当)としてセキュリティ製品の運用、提案、導入、インシデントハンドリング、監査対応に従事し、主に製薬・製造・金融のお客様を担当。2017年、ユーザー企業に転職し、インフラとセキュリティの整備を一から実施し、セキュリティ製品の選定、導入、運用を統括するとともに新たにSIEMの導入に合わせてSOC立ち上げなどを実施。2021年に株式会社 日本HP(HP Inc.)に入社。セキュリティ 製品部に所属しセキュリティ製品全般を担当。2024年に日本HP セキュリティエバンジェリストに就任、製品・技術の啓発および情報発信を積極的に行っている。

従来のアンチウイルスソフトだけでは不十分な理由とは?

中小企業では、専任のIT担当者がおらず、「とりあえず市販のアンチウイルスソフトを入れているから安心」と考えがちです。しかし、昨今の高度化したサイバー攻撃に対しては、従来の検知型のアンチウイルスソフトだけでは守りきれないと言われています。サイバーセキュリティを取り巻く環境はどのように変化しているのでしょうか?

木下 氏:まず大前提として、世の中のセキュリティ情勢が大きく変わったことを認識する必要があります。

例えば、私が子供だった1980年代の下町では、家の鍵を閉めずに出かけるのが当たり前でした。しかし今の時代、鍵を閉めないで家を出ることはあり得ませんし、マンションにはオートロックが求められますよね。サイバーセキュリティもこれと全く同じで、昔の常識のままでいることは非常に危険なのです。

かつてのハッカーは腕試しのいたずら目的でしたが、今の攻撃者は「お金を取るための武器」としてマルウェアを巧妙に操る犯罪者集団です。

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攻撃者が犯罪者集団化したことで、これまでの対策では不十分になってきているということでしょうか。

木下 氏:はい。従来のアンチウイルスの動作原理は、警察で例えると「指名手配犯のリストを見ながら不審者(既知の脅威)を探す」ようなものです。しかし現在の攻撃者は、自分たちのマルウェアがアンチウイルスで検出されないかを事前にテストしてから攻撃を仕掛けてきます。

つまり、まだリストに載っていない「指名手配が出る前の犯罪者(未知の脅威)」に対しては、従来のアンチウイルスでは見つけられないという限界が来ているのです。

ハードウェアメーカーが本気で作ったソフトウェア(HP Wolf Pro Security)

そうした「検知の限界」という課題に対して、HP様ではソフトウェアを提供していらっしゃると伺いました。PCメーカーであるHP様が、あえて独自にセキュリティソフトウェアの提供を始めた背景を教えてください。

木下 氏:HPはPCを作るメーカーとして、古くからTPM(セキュリティチップ)を導入するなど、エンドポイントのハードウェアセキュリティには常に投資を行ってきました。

しかし、インターネットに常時接続される世の中において、ハードウェアだけでは守りきれない領域があります。そこで、アンチウイルスの検知にはいずれ限界が来るという考え方を提唱していた仮想化技術企業、Bromium 社と2017年に提携、2019年には買収してHPのセキュリティ部門として統合し、HPのポートフォリオに埋め込みました。

そうした背景から生まれたのが「HP Wolf Pro Security」ということですね。この製品は、具体的にどのようなサービスでしょうか?

「HP Wolf Pro Security」は、Bromium 社の技術をベースにしたパッケージです。具体的には、振る舞い検知を行う「NGAV(次世代アンチウイルス)」、未知の脅威を閉じ込める「Sure Click(隔離)」、フィッシングサイトを検出して認証情報を守る「Credential Protection」、そしてゼロデイ攻撃からブラウザを守る「セキュアブラウザ」の4つの機能が1つにまとまっています。PCメーカーだからこそ、ハードウェアの土台の上に最適なソフトウェアを組み合わせ、強固な防御を実現しているのです。

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ウイルスを「なかったこと」にする(HP Sure Click)

「HP Wolf Pro Security」の機能の中でも、特にユニークなのが「HP Sure Click」という隔離技術だと伺いました。仮想マシン技術を用いて脅威を隔離するとのことですが、これは従来のアンチウイルスソフトのアプローチと何が違うのでしょうか?

木下 氏:従来のアンチウイルスソフトが「入り口で指名手配犯と照らし合わせ、問題なければ通す警備員」だとすれば、「Sure Click」の隔離アプローチは「外から来た人は一旦会議室(仮想マシン)に通して、その中で対応する」という考え方です。

つまり、怪しいファイルを開いてしまっても大丈夫ということでしょうか。その仕組みと、中小企業やユーザーにとってのメリットを詳しく解説してください。

木下 氏:外部からの怪しい添付ファイルなどを開くと、PC内に極小の仮想マシン(マイクロVM)が毎回新しく作られ、その中でファイルが開かれます。別のPCがファイルを開いて画面だけ転送してきているようなイメージです。

もしそのファイルがランサムウェアで、会議室の中で豹変したとしても、隔離された空間の中なのでPC本体には影響しません。ユーザーが「おっとまずい」と思って×ボタンを押してウィンドウを閉じれば、仮想マシンごとマルウェアが消滅します。ユーザーはインシデント自体を「なかったこと」にできるのです。

仮想マシンを使いますが、必要なメモリは1GB〜1.5GB程度と非常に軽量で、起動も1秒程度しか変わらないため、ユーザーはセキュリティソフトが入っていることに気づかないほどスムーズです。米国国防総省などでも長年使われており、これまで一度もこの隔離の中から外へ出られた(破られた)ことはありません。

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情シス不在でも回るダッシュボード管理(HP Wolf Security Controller)

いくら機能が優れていても、専任のIT担当者がいない中小企業では、導入後の運用や管理ができるかが大きな不安の種になっていますよね。

木下 氏:世の中では、EDR(Endpoint Detection and Response)を導入していれば問題ないという風潮があります。しかし、EDRは検知が目的なので、1台のPCが感染して横展開(他のPCへの感染拡大)した場合、IT部門がすべてのPCを回収し、フォーマットしてOSを入れ直すという膨大な復旧作業と専門知識が必要になります。

「HP Wolf Pro Security」は、そうした「運用・管理の壁」をどのように解決してくれるのでしょうか? 専門知識がない担当者でも使いこなせるポイントを教えてください。

木下 氏:「HP Wolf Pro Security」は、そもそも1台目で隔離しているため、横展開ができません。クラウド上の管理画面(HP Wolf Security Controller)には、隔離空間の中でマルウェアがどのような挙動をしたかといった解析ログが上がってきますが、それはすでに「防いだ結果」です。管理者はアラートを見て緊急対応をする必要がなく、運用コストと労力をとてつもなく少なく済ませることができます。これが、一人情シスや兼任担当者にとって最大のメリットになり、EDRとの大きな違いです。

より詳しい機能などは資料にまとめてあるので、よければチェックしてみてください。

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HP Wolf Security|資料ダウンロード(日本HPのWebサイトに遷移します)
jp.ext.hp.com

中小企業がこれから取るべきセキュリティ戦略

第1弾のメール侵入から始まり、第2弾のハードウェアによる自己修復、そして今回のソフトウェアによる防御と、エンドポイントを守るための包括的なアプローチを伺ってきました。

最後に、専任担当者がおらず、予算も限られている中小企業の経営者や現場担当者に向けて、今後どのような考え方で自社のセキュリティ対策(PC選びや運用)に向き合っていくべきか、連載の総括となるメッセージをお願いします。

木下 氏:セキュリティ対策は、バラバラに導入して管理が煩雑になるのが一番のリスクです。

HPの最大の強みは、PC本体(ハードウェア)の自己修復力と、今回お話しした強力なソフトウェアを統合して提供できる点にあります。PCを導入するタイミングでオプションとして追加し、3年や5年といった長期のサブスクリプションとしてセキュリティ機能をセットで組み込むことが可能です。さらに、最終的にそれらを1つのクラウドコントローラーにまとめて管理できるため、日々の運用が煩雑になることもありません。

限られた予算と人員のなかで企業を守り抜くためには、「鍵を開けっ放しにしていた過去の常識」をアップデートし、ハードウェアとソフトウェアの両面から自律的に防御・復旧できる体制を作ることが不可欠です。このHPのエンドポイントセキュリティが、全国の中小企業様の安全な事業継続の支えになることを願っています。

連載のまとめ

全3回にわたり、株式会社日本HPの木下様に、大企業も陥るランサムウェアの恐怖から、ハードウェアによる自律的復旧、そしてソフトウェアによる未知の脅威への対策まで、中小企業が生き残るための「これからのエンドポイント防御」についてお話を伺いました。

侵入されることを前提とし、ハードとソフトの両面から自律的に守り、直す。この新しいセキュリティのスタンダード(HP Wolf Security)が、皆様の企業の事業継続(BCP)と安全な働き方を支える一助となれば幸いです。

これにて、全3回の連載インタビューは終了となります。木下様、貴重なお話をありがとうございました。

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インタビュアー

野村 侑生

野村 侑生

東証プライム上場の独立系SIerに新卒で入社、システムエンジニアとして4,000人月を超える医療業界の大規模システム開発案件に参画。その後、医療機器メーカーで新規事業の立ち上げやクリニックの開業支援業務に従事する中で、医療機関で発生したセキュリティインシデントの対応を機にセキュリティ分野に身を投じる。現在は、中央省庁の調査研究業務で事務局を務めた経験を基に、国の動向を見据えたラボの戦略的な企画推進を担っている。

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