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Bluetoothとは?Wi-Fiとの違いやメリット・デメリットを徹底解説!

著者: 情シスマン
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スマートフォンの普及に伴い、Wi-Fiと同じくらい認知度の高まりを見せたのがBluetoothです。どちらもそれぞれ便利で、人によってさまざまな使い方をしていることでしょう。両方ともデジタル機器のワイヤレス化に一役買っている技術ですが、その詳しい仕組みや両者の違いなど、知らない人も少なくないのではないでしょうか?

今回はWi-FiとBluetoothの違いに焦点を当て、メリットとデメリットを紹介していきます。
両者をより理解し、双方の利便性をさらに高めていきましょう。

Bluetooth(ブルートゥース)とは、近距離の機器同士が通信する際に利用されることが多い無線通信技術の一つです。
例えば、スマートフォンと無線イヤフォン、PCとマウスなど、近くにある機器を無線でつなぐことで、有線のわずらわしさを解消してくれたりします。
語源である「青い歯」は、「乱立する無線規格の統合」という願いを込めて、ノルウェーとスウェーデンを統合したハーラル・ブロタン・ゴームソン王の別名「青歯王」(神経の死んだ歯が特徴の王様だったそうです)が由来になっていると言われています。それ故、ネット界隈では青歯と呼ばれることもあります。

Bluetoothの通信は、5Gや4Gのようなモバイル回線のように通信に対して料金がかかるということはなく、必要なのはBluetooth対応の機器だけです。

Bluetoothは複数の企業がプロモーションに関わっていますが、もともとは1994年にエリクソン社のプロジェクトとして開発されました。日本で知られるようになったのは2000年代前半からで、それから数々のバージョンアップを経て技術進化を遂げています。
世界標準規格であり、Bluetooth規格の標準化団体であるBluetooth SIG(Special Interest Group)に大手デバイスメーカーが参画しているため、一般的に利用される通信規格となり、広く普及しました。今では、PCのマウスやキーボード、スマートフォンなどに利用されており、身近な存在であると言えるでしょう。

Bluetoothの規格とClassについて

現在のBluetoothの規格は5.4が最新です(2023年5月現在)。

※5.4はリリースされたばかりのため市場での活用はまだほとんどないです。

バージョンが変わるごとにデータの転送速度や省電力化機能が向上しており、4.0からは「Bluetooth® Low Energy(BLE)」と呼ばれる省電力機能が利用でき、4.0以上の対応デバイス同士では省電力モードが可能になりました。
2016年に誕生した5.0では、データの通信速度が4.0の2倍、通信範囲が4倍、通信容量は8倍になるなどデータ転送スペックが向上し、5.1 では方向探知機能、5.2では「LE Audio」、5.3では「Connection Subrating」が追加されています。
最新の5.4では、PAwR(Periodic Advertising with Responses)という通信方式が追加となり、より効率よく、省電力に通信ができるほか、1対多の双方向通信が可能になるようです。

※LE Audio…Bluetooth Low Energy(BLE)による高品質な音声伝送を実現するための機能。LC3(Low Complexity Communication Codec)という高効率な音声コーデックにより高品質な音声伝送が可能に。
※Connection Subrating…Bluetooth Low Energy(BLE)の機能の一つ。一定時間ごとに通信を中断することで、消費電力を抑えた接続を叶える技術のこと。

バージョンが違っても通信自体は可能です。ただし、4.0のデバイスと3.0のデバイスを接続した場合には、3.0(低いバージョン)の機能に合わせて接続されます。
より高機能のBluetooth通信を利用したい場合は、接続するデバイスのバージョンを最新のものでそろえる必要がありますね。

また、電波の到達距離はClassで変わります。Bluetoothは電波強度レベルをPower Classで定義しており、強度が上がれば電波の到達距離も広くなります。Classには3種類存在し、Class1では最大100m、Class2では最大10m、Class3では最大1mの電波到達距離となります。一般的に販売されているオーディオ製品等のBluetooth対応機器は概ねClass2で設計されています。Classの異なるデバイスを繋ぐ場合は、低いClassに合わせて接続することになります。

Bluetoothの仕組み

極超短波である2.4GHz帯を使った通信でデバイス間をつなぎます。
Bluetooth対応のデバイスには、受信機とソフトウェアを含むチップが内蔵されています。そのチップ同士がリンクすることで、デバイス間の接続が可能になります。

デバイスで利用できるBluetoothの機能は「プロファイル」で定義されており、同じプロファイルがある機器同士が接続することで、その機能を使うことができます。
例えば、PCの入力をBluetoothキーボードで行いたい場合、キーボードとPCにHIDというプロファイルが必要になります。

主なプロファイルと機能についてはこちら

プロファイル名

機能

A2DP

音楽再生。イヤホンなどに音声を送る

AVRCP

オーディオ機器の制御。再生、停止などのリモコン機能を制御する

ANP

着信やメールなどの通知を行う

BIP

画像を転送する

FMP

紛失した機器の場所を特定するために通知やアラーム、バイブレーションを鳴らす

FTP

PC同士でのデータ転送を行う

HFP

ヘッドホンでのハンズフリー通話を行う

HID

マウスやキーボードの入力機能を利用する

バージョンによって使えるプロファイルが異なります。基本的に新しいバージョンにはより高機能なプロファイルが実装されています。

Bluetoothの使い方は?「ペアリング」の方法

どのデバイスやOSも接続設定の方法はほとんど一緒です。以下に代表的なデバイスでのペアリング方法を記載します。
接続方法は機器やメーカーによって多少異なります。新規でペアリングする場合は、ペアリングコードを求められるケースもあります。接続したい機器の説明書を確認するか、チュートリアルに沿って接続を進めましょう。

iPhone、Androidでのペアリング方法

iPhoneの場合は、画面右上からスワイプし、Bluetoothマークをタップすることでオン/オフを切り替えたり、Bluetoothアイコンの長押しで接続設定画面を開くことが可能です。

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また設定アプリからもBluetoothのオン/オフや接続設定を開くことも可能です。
接続したことのない機器と初めて接続するときは、その他のデバイスに表示されます。

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Androidの場合も同様に、画面中央上部からのスワイプダウンや設定アプリから操作が可能です。

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PCでのペアリング方法

PCでのペアリング方法としては、画面端にあるタスクバーや設定メニューからのペアリング設定を行うことができます。

Windowsの場合は、タスクバーの該当箇所をクリックし、Bluetooth設定メニューを開きます。
接続したことのない機器との接続は、「その他のBluetooth設定」をクリックし、デバイスの追加から機器のペアリングを行っていきます。

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Macの場合も同様に、メニューバーのステータスメニュー箇所や設定メニューから接続設定をします。

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※いずれもOSのバージョンによっては画面や設定方法が異なる場合があります。

Bluetoothのメリット

ワイヤレス化による快適UP

Bluetooth接続にすることで、機器との接続をワイヤレス化することができます。
従来有線接続をしていたものが無線接続可能になることで、ケーブルの煩わしさが解消され快適に機器を利用することができるようになります。
例えばキーボードやマウスがワイヤレスになることで、デスクのレイアウトを自由に設計することができ、見た目のスタイリッシュさや、働きやすい姿勢につながったりします。

消費電力が少ない

機器同士の接続方法であるWi-Fiと比較すると消費電力が少ないこともメリットです。連続使用時間を長く保ちたいキーボードやマウスなど、長時間使用される機器との通信に使用されてることが多いのは消費電力が少ないことが理由です。

Bluetoothのデメリット

有線に比べると接続が不安定

イヤフォンにおいては、やはり有線接続の方が音質がよくなる傾向にありますし、キーボードにおいてもキーの反応や接続の安定性は有線接続に軍配が上がります。

通信距離が短い

近距離無線通信の名の通り、通信距離が短いシーンで使用されるのがBluetoothです。一般的なBluetoothの通信距離は10~100mとなっており、キーボードやマウス、イヤフォンなどは10m程度の通信距離のものがほとんどでしょう。

充電もしくは電池の入れ替えが手間

一般的にBluetooth機器はバッテリーもしくは乾電池等での電力供給となっております。
有線接続ができるデバイスの多くは、有線ケーブルで電力が供給されるため、電池残量を気にしないで使用できるのがメリットです。
対してBluetooth機器は、バッテリーがなくなってしまうと充電や乾電池の入れ替えをする必要があります。
バッテリーを気にしながら使用しないといけない、バッテリーがなくなったら充電or電池の入れ替えが必要な点はデメリットと言えるでしょう。

セキュリティに注視しなければならない

接続自体が誰でも簡単にできてしまうため、意図しないユーザーやデバイスの通信を許してしまう可能性もあります。Bluetooth自体に固有のIDが割り振られ、同じ電波圏内でデバイスを検知して接続するという仕組みを利用して、個人を特定されてしまう可能性もゼロではありません。
デバイス名自体に個人が特定されるような情報は使わない、もう接続しないBluetooth機器があれば設定から削除する、公共の場で接続設定をしないなど、必要最低限のセキュリティ対策意識を持つようにしたいですね。

BluetoothとWi-Fiの違いとは

通信規格による違い

Wi-FiとBluetoothの通信規格には大きな違いがあります。まず、通信速度に関しては圧倒的にWi-Fiのほうが速いです。規格別で見ていくと、Wi-Fi規格のIEEE802.11gとIEEE802.11aは54Mbps、IEEE802.11nは300Mbps、IEEE802.11acになると6.9Gbps(Wi-Fi5)、最新の規格IEEE802.11axでは9.6Gbps(Wi-Fi6)という圧倒的な高速度を誇っています。対してBluetoothの通信速度は最大でも24Mbpsです。

次に、通信距離に関しても大きく異なります。Wi-Fiは数百メートル先まで電波が届きますが、Bluetoothは届いてもわずか数十メートルで、その特性から近距離無線通信規格に分類されています。
また、Bluetoothの周波数は2.4GHz帯であるのに対し、Wi-Fiは2.4GHz帯、5GHz帯、60GHz帯を使用しています。Wi-Fiで2.4GHz帯を利用する場合、Wi-FiとBluetoothで互いに電波干渉が起き、Wi-Fiの通信状況がかなり落ちてしまいます。この周波数帯は電子レンジやワイヤレススピーカーなどにも採用されているため、同時使用による電波干渉が起こりやすいのが特徴です。
Wi-FiもBluetoothも狭い空間内でそれのみの利用であれば電波状況は安定しますが、同周波数帯の同時使用には注意が必要です。

利便性の違い

通信距離が長く通信速度の速いWi-Fiのほうが一見利便性が高いように思えます。しかし、Wi-FiとBluetoothは用途がまったく異なるため、どちらのほうがより利便性が高いかについては一概に決めることはできません。

たとえば、社内ネットワークをワイヤレスで構築するのはWi-Fiの役目です。Wi-Fiルータを経由して複数のデバイスをつなげることができ、電波の届く範囲であれば社内のどこにでもデバイスを持ち運ぶことができます。

対してBluetoothはネットワークの構築には向きません。その代わり、Bluetoothに対応している1つの機器を、近距離にあるもう1つの対応機器につなげるのが得意で、マウスやキーボードなどPCまわりの細々とした機器をワイヤレス化するのに大変便利です。通信速度が遅いデメリットはあるものの、消費電力が少ないのもメリットのひとつで、長時間使用するシチュエーションにとても向いています。

Wi-Fiは通信速度が速いのがメリットですが、消費電力が激しく、Wi-Fiを利用しているデバイスのバッテリーが消耗しやすいというデメリットがあります。

Wi-Fiとは?規格や活用方法、職場での導入で知っておきたいWi-Fiについて解説
Wi-Fiとは?規格や活用方法、職場での導入で知っておきたいWi-Fiについて解説

Bluetoothの活用例とは

主な活用方法としては、イヤフォンを接続したり、カーナビでスマートフォンのオーディオを再生したり、デバイス間のデータ共有をしたりなど、今まで有線接続していたものをワイヤレスにすることができます。どちらかというと個人向けの活用方法に接してきたユーザが多いのではないでしょうか。
そのほかにも、バージョン毎に追加されてきた様々な機能を活用した例を紹介します。

ビーコン(Bluetooth 4.0以降)の活用例

最近では、Bluetooth 4.0で対応した「ビーコン」を利用した活用例も見られるようになっています。ちなみにビーコンとは、Bluetooth通信で電波や光などの信号を一方的に送り続けるデバイスのことを指します。その信号をデバイスで受信することで、様々なサービスにつなげることができ、例えば道路交通分野では、ビーコンを利用して混雑状況を認識し、カーナビなどで適切な案内ができるようにしたり、山での遭難者の発見に使用する技術としてビーコンが使用されたりしています。商業的な分野でも、ユーザの位置情報や識別情報を記録して活用することで、施設利用者数の把握や施設滞在者へのアプリを通じた情報発信などにも利用されるようになりました。商品の位置情報や顧客の情報などを組み合わせることで、無人決済も可能になります。

方向検知機能(Bluetooth 5.1以降)の活用例

方向検知機能は、機器間の方向と距離を測定することができます。
例えばBluetoothタグを装着した従業員の倉庫内での業務の流れを可視化したり、
商業施設での詳細な(センチメートル単位の精度での)経路案内をしたり、アイスホッケーの選手やパックの位置をトラッキングして解析したりすることに活用されています。

1対多の双方向通信(Bluetooth 5.4以降)の活用例

電子棚札(ESL)の活用により、小売業のDXが加速すると言われています。
Bluetooth 5.4のPAwRを利用することで、特定のタイミングである商品の値下げを自動で行ったり、冷蔵庫内の温度を収集して管理したり、「○○ありますか?」と聞かれた商品の値札を光らせて探しやすくしたりできるようになり、利便性・購買率の向上、業務効率化が進むでしょう。

このようにBluetoothの特性を活かし、様々な分野での活用が広がっています。

summaryまとめ

Wi-FiとBluetoothには特徴に大きな違いがあり、そのため用途も大きく異なります。共通しているのは、両者とも無線を使用している技術であるということです。Wi-Fiと比べると、Bluetoothのほうが通信速度も通信距離も劣りますが、消費電力が少ないなどメリットがあります。
Bluetoothの規格や機能も日々進歩しており、その機能を活用した新たな技術・サービスも多数生まれています。情シス担当だけでなく、事業開発を担う方、経営層もBluetoothの技術革新にアンテナを張っておきたいですね。

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