社内もしくはデータセンターでサーバをオンプレミスで運用している企業の中には、時代の移り変わりに併せて現状のままの管理でよいのか少なからず不安を抱えているのではないでしょうか。
本資料では、企業が抱えるデータロケーションの課題において、データセンターやクラウドのメリット・デメリットの解説と、USEN ICT Solutions で実際に過去にあった提案事例をまとめています。
2022.07.08
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クラウドネイティブ、クラウドファーストなんていう言葉に代表されるように、近年では法人も個人も多くのシーンで当たり前にクラウドサービスが活用されています。
業務システムだけでなく基幹システムをクラウド環境で動かす企業も増えており、自社サーバルームに設置していたサーバをアウトソースする事に舵を切った企業も多くいるでしょう。
しかしながら、自社管理施設内にサーバ設備を構えるオンプレミスな運用方法も引き続き多くの企業が採用しており、実はデータセンター市場もクラウド市場と同様に拡大傾向にあります。
調査会社IDC Japanの発表によると、国内事業者データセンターの延床面積は、2025年には339万8,000平方メートルに達するそうです。
本日は根強い人気のデータセンターについて解説していきたいと思います。
データセンターとは、企業のサーバを安全に、そして高い可用性をもって運用することに特化した施設の総称です。 多くが、サーバを運用する為に合わせて必要になるネットワーク機器やセキュリティ機器もサーバと共に設置されます。
データセンター事業者は建物内に専用の棚(サーバラック※)を配置しており「1ラック〇〇円」のように場所貸し形式で提供しています。
小規模利用向けにプランを持っているデータセンターでは、1ラックをハーフラック(2分の1)やクォーターラック(4分の1)といった形で複数に分割して提供してくれます。この場所貸し(場所借り)のことをハウジングと言います。
不動産業を営む会社に「〇〇ハウジング」という名前が多いですが、データセンター選びは不動産選びと似た点が多くありますよ。
※サーバラック...サーバやそれの運用に必要なストレージやネットワーク機器などを収納する専用棚のこと。一般的には幅19インチ、一段分の高さ1.75インチ × 42段のものが多い。この規格のラックを「19インチラック」や「42Uラック」と呼ぶ。42Uは「42ユニット入る」ことから来ている。
サーバを安全に、そして高い可用性をもって運用する為に、データセンターはサーバ本体を設置するスペースだけでなく、いくつかの機能を有しています。
まず、建物そのものに対災害対策が施されており、耐震性、免振性、耐火性が高いことの他、火災検知システム、消火システムを備えています。自然災害等に見舞われた際にもサーバラックが倒れて機器が損傷する事のないようになっているのです。
また、稼働し続けるサーバやネットワーク機器、セキュリティ機器の為に、ハードウェアにとって最適な湿度、温度を保てるよう空調管理が施されています。機器類にとって高温多湿は厳禁ですからね。
24時間365日サーバの稼働を止めない為には電力の供給も必須です。落雷や変電所トラブルによる停電などの有事の際にも、電力供給が止まらないようにデータセンター内に自家発電設備やUPS(無停電電源装置)を有しています。
そして高い安全性を担保すべく、最先端の認証システムや監視カメラによって、人の出入りや行動も厳重に管理されています。データセンターを契約している企業の担当者であっても事前に入館申請をしておかないと入れないような徹底ぶりで、不審者が入館する事はあり得ません。
その分、顧客は安心して自社のサーバを預けることができるというわけです。
更に、機器に異常がないかを監視するサービス(LEDランプ確認)や、機器の再起動を代行するサービス(リモートハンズ)などがあります。
データセンターでサーバを運用するのも、クラウドでサーバを運用するのも、自社オフィスからサーバを出すという点では共通しているのですが、前述の通り、データセンターはサーバやネットワーク機器、セキュリティ機器を置いて運用する為の建物を指しています。
データセンターに自社サーバをハウジングするとなれば、契約はあくまで”場所貸し”ですので、そこに設置するサーバやネットワーク機器、セキュリティ機器は契約企業の資産であり、運用管理は契約企業が行うことになります。
一方、クラウドはサービスの提供方法を指しています。サーバをクラウド上で運用する場合、(クラウド事業者のデータセンターに置かれているのですが)契約企業にはサーバの所在は明かされません。クラウド事業者の保有するサーバをインターネットを介して利用するという契約形態になります。サーバやそれを運用する為のネットワーク機器、セキュリティ機器が自社の資産ではなくなりますので、購入費の削減やメンテナンスなどの運用工数の軽減にもつながります。
地震大国の島国である日本において、BCP対策上データセンターは大変重要な施設であると言えます。ここからはサーバ運用の方法や場所ごとにメリットを比較していきましょう。
クラウドとデータセンターを比較すること自体が少々難しいのですが、クラウドにはないデータセンターのメリットは、自社内で運用していたサーバをデータセンターに移設しても100%使えるということです。データセンターとはスペースや建物設備を契約しているだけですので、サーバ設計やネットワーク構築は契約企業の自由にカスタマイズすることができます。
企業のサーバは「稼働し続けること」が重要ですので、自社で構築していたものをそのままごっそり移設する事が出来るのは充分な利点でしょう。
更に、既存のサーバを移設するケースだけではなく新しくシステムを立ち上げるという際にも、クラウドの場合は、そのサービスで希望の設計が出来るのか?運用開始後に拡張や修正が出来るのか?を予め確認しておく必要がありますが、データセンターでの運用にその心配はないでしょう。
もちろん、上記の懸念を払拭出来た暁には、クラウドでの運用の方に軍配が上がることになります。
例えばオフィス移転が控えていて、今オフィスに構えているサーバ群を移転先にも持っていくか?それともデータセンターに移設するか?という岐路に立たされたとしましょう。
建物の災害対策については、対策レベルが高いオフィスビルもあると思いますが、そういうオフィスビルは大抵家賃が高いのではないでしょうか。一般的なオフィスビルと比べるとするとデータセンターの方が優れているでしょう。
また、オフィスビルには年に一度、全館を停電して電気設備を点検しなければいけない「法定停電」があります。これは電気事業法に基づいて行われるものですので避けて通れません。データセンターも法廷停電の対象施設になりますが、自家発電設備等があるのでサーバ類への電力供給が止まることありません。法定停電前後で情シス担当者が準備をする必要がない点もメリットと言えるでしょう。
更に、サーバやネットワーク機器類にとっての最適な湿度、温度は人間である私たちとは異なります。自社でサーバを運用する際には、執務スペースとは別にサーバルームを別途用意し、適切な空調管理や必要量の電力を供給する為の電源工事が必要です。データセンターでハウジングしてしまえばこれらをオフィスに用意する必要はありません。
データセンター事業は一般的にハウジング(場所貸し)を指しますが、ベンダーが用意しているサーバを使わせてもらうホスティングというサービスもあります。自社でサーバを用意しなくて済むサービスで、必要な分だけサーバの容量を借りることができます。サーバをレンタルできることから、レンタルサーバとも呼ばれています。専用ホスティングは1社で専有する形式、共用ホスティングは複数社でシェアする形式のホスティングサービスとなり、当然、共用ホスティングが割安となります。
費用についてだけではなく、サーバの運用や保守は、ホスティングを提供しているベンダー側で行ってくれるので、管理も非常に楽ちんです。ただし、サーバやOSは予め用意されているものを使うスタイルの為、自由に選べないというデメリットがあります。
一方でハウジングは、サーバを運用する為の最適な場所(設備)だけを借りるサービスですので、サーバ設計やネットワーク構成は自由に組む事が出来ます。自社にとってどれが適しているか十分に考えたいところです。
クラウドか、自社サーバルームか、データセンターかを比較してデータセンターでハウジングする事が決まったとしても、その後はどこのデータセンターがいいのか?の検討をする必要がありますね。
データセンターとしての必須要素は、いずれのデータセンターもある程度有していることと思います。では、実際に検討するとなった場合はコストだけ比較すればいいか?と言われるとそうではありません。以下をデータセンターを探す際の参考にしてみてください。
ハウジングしたとして、データセンターに設置されたサーバは契約企業の資産です。何かあれば担当者が現地に赴き、作業しに行くことになるでしょう。その場合、立地は会社から近い方が方がいいのか、担当者の自宅から近い方がいいのか、車で行くのに便利な場所がいいのか、駅から近い場所がいいのか等、実際に現地に行く事を想定して検討する必要があります。
また、データセンター自体が堅牢でも周辺エリアやそこにたどり着く迄の道のりに難があると厄介かもしれません。洪水や、津波だけではなく、埋め立て地の液状化の可能性も考慮すべきでしょう。2011年に起こった東日本震災の際には、埋め立て地エリアの液状化現象により目的地であるデータセンターにたどり着けないというケースもありました。
無事入館した後は、直ぐに終わる作業であればいいですが、長い時間そこに滞在しなければならない場合もあるでしょう。休憩室や会議室等の設備があるかどうかも事前に確認しましょう。館内は寒いので防寒具の貸し出しがあるとこれもありがたいです。また、長時間常駐する場合や頻繁にデータセンターに赴く方は軽食を取る事もあるかもしれません。近隣に飲食店やコンビニがあるかも調べておきましょう。
搬入作業時、雨天である場合もあります。搬入口の屋根や駐車場の有無も把握しておいた方が無難です。搬入を終えると残るのは段ボールや緩衝材などのゴミ。廃棄物の対応についても予め確認しましょう。
そしてサーバトラブルでデータセンターに駆けつける際には一刻を争うということもあります。
入館申請から実際に入館できるまでの手続き方法や所要時間、手ぶらで行っても作業出来る環境があるか?等もポイントかもしれません。PCや工具、椅子などの貸し出し、棚板やケーブルの販売があるとありがたいですよね。
他にもデータセンターによって少しずつ付加価値が異なります。サービスが充実しているデータセンターの方が高額になるのは必然ですが、手を動かす担当者の方の手間も考慮して費用対効果を見るべきかと思います。
参考までに、データセンターでかかる費用を算出する際、予めどのような要件を揃える必要があるのか基本項目をご紹介します。
データセンターに設置したいサーバやその他の機器の数やサイズ、重量によって必要ラック数が変わります。熱気が籠らないように詰め込みすぎない様にしましょう。
kVA(キロボルトアンペア、ケーブイエー)とは、消費電力のことです。
機械は電力がないと動きませんので契約したラックにどの程度の電力量が必要かを想定しておく必要があります。逆に、利用ラックの提供可能電力(kVA)上限を確認し、容量内で利用することが重要となります。
データセンターによっては、ラックに引き込む電源を冗長化する事が出来ます。万が一、片側の電源供給が滞った場合のバックアップとして、予め別系統の電源を追加契約出来るというものです。
データセンター事業者がもつ共用回線や専有回線から選択する事も出来ますし、自社指定の通信キャリアの回線を引き込むことも出来ます。必要帯域やグローバル固定IP数に応じて費用が変動します。
データセンターによりますが、データセンター構内での配線にハウスケーブルを指定される場合があります。ランニングコストになりますので思わぬ出費がないように事前に確認しておきましょう。
他にも必要な項目があるかもしれませんので、基本項目として捉えて頂けますと幸甚です。実際に行く可能性がある担当者の方にとって利用しやすいデータセンターが見つかることを祈っています。
情シス担当者の仕事として切っても切れないサーバ運用。利便性もさることながらBCP対策としての有効性も踏まえて考えていかなければいけません。
いつ来てもおかしくないと言われる首都直下型地震を踏まえて、データセンターもメインセンターの他にDRサイト※を用意する企業も少なくありません。予算は無尽蔵ではないですから、優先順位をつけて最適なサーバ運用を模索していきたいですね。
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