Gemini Enterprise(旧 Google Agentspace)とは?機能・料金を徹底解説
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「あの資料、どこにあったっけ?」
「情報が多すぎて最新版が見つからない」
「チャットやメールで共有されたはずの情報がどこにあるか分からない」
このように、社内の情報探しに貴重な時間を奪われていませんか?
多くの企業で、日々役立つドキュメントが作成される一方で、「情報サイロ化」という課題が発生しています。組織内に存在するはずのデータや必要な回答を探し出すために、多くの時間と労力が無駄になっているケースは少なくありません。
こうした非効率な情報探索の悩みを解決するのが、Gemini Enterprise(旧 Google Agentspace)です。
そこで今回は、Gemini Enterprise の機能や、Gemini for Google Workspace との違いについて分かりやすく解説します。また、料金やライセンス体系についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
<この記事でわかること>
- Gemini Enterprise とは何か
- Gemini for Google Workspace との違い
- Gemini Enterprise の機能
- Gemini Enterprise の料金・ライセンス体系
※2025年10月時点の情報を掲載しています。
Gemini Enterprise とは?
Gemini Enterprise は、ユーザーがアクセス権を持つコンテンツを横断的に検索できるAIプラットフォームです。社内ポータルサイトのように活用でき、最近使用したファイルやカレンダーの予定、社内のお知らせなどを一箇所にまとめて表示します。
また、強力な検索バーは社内情報に特化した Google 検索のように機能します。社内のオンラインストレージやメール、チャットに加え、Microsoft 365、Salesforce、Slack などのサードパーティ製ツールからも必要な情報を簡単に見つけることができます。
例えば、「Google ドキュメント から〇〇の情報を要約して」と指示したり、会議のスケジュール調整、メール文面の作成と送信などを任せることも可能です。

Gemini for Google Workspace との違い
Gemini Enterprise は、単なるAIアシスタントにとどまらず、企業全体の業務を高度化するAIエージェントプラットフォームとしての役割を担っています。ここでは、具体的な機能と、Gemini for Google Workspace との違いを解説します。
役割の明確な違い|AIアシスタントとAIエージェント
Google が提供する「Gemini for Google Workspace」と「Gemini Enterprise」は、企業の生産性向上を目的としたツールですが、それぞれ異なる役割を担っています。
具体的には、「Gemini for Google Workspace」が個人の作業や思考を支援するAIアシスタントであるのに対し、「Gemini Enterprise」は企業全体のシステムを横断し、複雑な業務を自動化するAIエージェント(代理人)を構築・運用するためのプラットフォームです。両者の主な違いを下の表にまとめました。
Gemini for Google Workspace | Gemini Enterprise | |
|---|---|---|
主な目的 | 個人の生産性向上 | 組織全体の業務プロセス自動化と高度化 |
役割 | AIアシスタント(壁打ち相手、文書作成補助など) | AIエージェント(業務の調査、分析、実行など) |
機能の範囲 | Google Workspace アプリ内での利用が中心 | 企業内外の多様なシステムやSaaSとの連携 |
主な機能 |
|
|
利用者 | Google Workspace を利用する従業員全般 | 企業の各部門(営業、情報システム、人事・総務など) |

Gemini Enterprise 特有の強力な機能
Gemini Enterprise は、上記のエージェントとしての役割を果たすために、企業データ連携と業務自動化に特化した6つの機能を持っています。
- サードパーティ製データソースとの連携
- アシスタントアクション
- お知らせ機能
- エージェントデザイナー(ノーコードAIエージェント作成)
- NotebookLM Enterprise
- Gemini Code Assist Standard
サードパーティ製データソースとの連携
Gemini Enterprise は、Google 製品だけでなく、Google 以外のサードパーティ製データソースとも連携し、組織全体のデータを横断的に検索できる強力な機能を備えています。主な連携可能データソースは以下のとおりです。
- Microsoft 365
- Salesforce
- Slack
- Box
- Confluence Cloud
- Dropbox
- Jira Cloud
- ServiceNow
アシスタントアクション
Gemini Enterprise のAIエージェントは、単に情報を提供するだけでなく、ユーザーに代わって業務アクションを実行する能力を持ちます。
例えば、「Gemini Enterprise の概要をtest@usen-ict.co.jpにメールで送信して」と指示するだけで、AIがメールの下書きを自動で作成します。2025年10月現在、AIエージェントを介して Google カレンダーへの予定登録や Gmail でのメール送信といったアクションを実行できます。
また、AIアシスタントがユーザーに代わってアクションを実行する際には、OAuth 同意※による本人認証が必須となります。これにより、AIが意図しない操作を勝手に行う心配はありません。
※OAuth 同意とは、ユーザーがパスワードを教えることなく、あるサービスが持つ自分の情報へのアクセス権を、別のアプリケーションに安全に与えるための仕組みです。

お知らせ機能
お知らせ機能により、コンテンツカードを Gemini Enterprise 上に表示し、ユーザーへ情報を一斉に共有できます。カードにはWebページのリンクを設定でき、クリックすると直接該当ページへ移動させることも可能です。
※お知らせ機能は2025年10月現在、プレビュー版です。

エージェントデザイナー(ノーコードAIエージェント作成)
専門的なAIエージェントをノーコードで作成できる機能が提供されます。コーディングの知識がなくても、ユーザー自身が目標、手順、データソースを定義するだけで、特定の業務に特化したAIエージェントの作成が可能です。
例えば、社内規定を集約したデータソースから回答を検索したり、独自のFAQエージェントを作成したりといった活用が考えられます。
NotebookLM Enterprise
NotebookLM は、Google が提供するAIサービスで、ユーザーがアップロードしたソース(ドキュメント、Webサイト、動画など)を基に分析や要約、文章生成などを行います。指定されたソースに限定して推論や情報抽出を行うため、ハルシネーション(誤情報生成)のリスクを抑えつつ、資料の理解や分析を効率的に行うことができます。
NotebookLM Enterprise は、無料版や Pro 版(NotebookLM in Pro)とは異なり、 Microsoft Word や PowerPoint などのファイル形式にも対応しています。
さらに、NotebookLM Enterprise は Google Cloud のプロダクトとして提供され、Google Cloud の高度なセキュリティ機能と連携することで、組織のデータを厳格に管理することが可能です。

Gemini Code Assist Standard
Gemini Code Assist Standard は、Google が開発したAI搭載のコーディング支援ツールで、アプリケーション開発の全ライフサイクルを効率化します。Visual Studio Code(VS Code)や JetBrains などの主要な統合開発環境(IDE)※に対応し、チャット形式でコードの内容を分かりやすく解説します。
また、Firebase、BigQuery、Cloud Run などの Google Cloud サービスと連携し、各サービスに特化したAI支援を提供します。
※統合開発環境(IDE)とは、ソフトウェア開発に必要なツール(コードエディター、コンパイラ、デバッガなど)を一つに統合したソフトウェアです。
Gemini Enterpriseのライセンス体系
Gemini Enterprise には、基本的な機能を提供する「Gemini Enterprise Standard」と、より高度なクォータ※とストレージを提供する「Gemini Enterprise Plus」の2種類のライセンスが提供されています。
※クォータとは、利用可能なリソースの最大量(例:データ量、使用回数など)のことです。
どちらのライセンスも最低1ユーザーから利用を開始でき、柔軟な導入が可能です。また、30日間の無料トライアルも用意されており、導入前に実際の機能や使用感を検証することができます。
※Gemini Code Assist Standard は30日間の無料トライアルの対象外となります。
Gemini Enterprise Standard | Gemini Enterprise Plus | |
|---|---|---|
価格 | $35(1ユーザーあたり/月) ※年契約の場合は$30(1ユーザーあたり/月) | $60(1ユーザーあたり/月) ※年契約の場合は$50(1ユーザーあたり/月) |
最小ライセンス数 | 1 | 1 |
機能 |
|
|
※2025年10月時点の情報を掲載しています。
NotebookLM Enterprise の単体契約
組織のデータ分析機能のみが必要な場合は、NotebookLM Enterprise を単体で契約することも可能です。この場合、最小ライセンス数は15ユーザーからとなります。
企業が重視するセキュリティとアクセス権の原則
ここでは、企業がAIプラットフォームを導入する際に懸念する情報セキュリティとデータアクセス権について解説します。
既存のアクセス権がそのまま適用される原則
Gemini Enterprise は、様々なデータソースから情報を見つけやすくしますが、ユーザーに新たなアクセス権を付与するわけではありません。
各データソース(Google ドライブ や Gmail など)で設定されているアクセス権がそのまま適用されるため、Gemini Enterprise 上で個別に設定は不要です。つまり、ユーザーは自身が閲覧を許可されているドキュメントや情報にしかアクセスできません。
データ利用に関するプライバシー保護
利用者が Gemini Enterprise に入力した情報や検索内容は、Google のAIモデルのトレーニングに使用されることはありません。これにより、企業は機密情報を安心して利用できます。
また、付属する Gemini Code Assist の Standard エディション でも、ユーザーが入力したコードやプロンプト、それに対する回答は Google のモデルトレーニングに使用されません。

ID認証(ユーザー認証)の柔軟性
Gemini Enterprise アプリケーションの利用時にはユーザー認証が必要ですが、その構成において柔軟性があります。
サードパーティ製IDプロバイダー認証
Gemini Enterprise では、Google Workspace だけでなく、Microsoft Entra ID(旧 Azure Active Directory)やOktaなどのサードパーティ製のIDプロバイダーでの構成も可能です。
サードパーティ製のIDプロバイダーを利用する場合、OpenID Connect(OIDC)または SAML 2.0 をサポートしている必要があります。認証設定には、Google Cloud のWorkforce Identity 連携(WIF)を利用します。
Workforce Identity 連携(WIF)とは、Google Cloud において、自社の外部IDプロバイダ(Microsoft Entra ID やOktaなど)を利用して、従業員やパートナーなどのユーザーを認証し、Google アカウントを作成・同期することなく Google Cloud のリソースに安全にアクセスさせるための仕組みです。これにより、ID管理の一元化とセキュリティ強化、運用負荷の軽減が実現します。


Gemini Enterprise の利用に必要なロール
Gemini Enterprise アプリケーションの設定および利用にあたっては、Google Cloud の Identity and Access Management(IAM)ロールが必要です。アプリケーション管理者と利用ユーザーで必要なロールは以下のとおりです。
アプリケーション管理者 |
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|---|---|
アプリケーション利用ユーザー |
|
その他、IDプロバイダーを構成する場合は別途組織ロールが必要になります。
多くの企業が「社内のどこかにあるはずの情報が見つからない」「データが様々なツールに散在している」といった課題に直面しています 。Gemini Enterprise(旧 Google Agentspace)は、こうした情報のサイロ化を解消し、組織全体の生産性を向上させるための強力なソリューションです。
Gemini Enterprise は最低1ユーザーから契約でき、導入前に機能をじっくり検証できる30日間の無料トライアルも用意されています 。
情シスマンを運営するUSEN ICT Solutionsは、Google Cloud のパートナーとして、Gemini Enterprise と NotebookLM Enterprise の導入から活用までを支援します。ぜひお気軽にご相談ください。

