【セミナーレポート】中小企業におけるセキュリティ対策の「最前線」~世界情勢から紐解く、サイバー攻撃の最新手口と具体的対策~

サイバーセキュリティラボでは、中堅・中小企業向けに、サイバーセキュリティに関する情報発信の場としてセミナーを不定期開催しています。
2026年2月5日(木)には中曾根世界平和研究所の大澤 淳 氏を講師に招き、サイバー攻撃と世界情勢の密接な関係について解説いただきました。後半では、サイバーセキュリティラボを運営するUSEN ICT Solutionsより、その日から取り組めるセキュリティ対策について紹介を行いました。
本記事では、セミナーの内容を一部抜粋してお届けします。アーカイブ配信も行っておりますので、あわせてご確認ください。
※本記事の内容は、セミナー開催時点の情報です。

講師
大澤 淳 氏
公益財団法人 中曽根世界平和研究所
上席研究員
外務省総合外交政策局政策調査員、世界平和研究所研究員・同主任研究員、米ブルッキングス研究所客員研究員等を経て、内閣官房国家安全保障局参事官補佐(初代民間局員)、同局シニアフェローとして、サイバー安全保障政策の策定に従事の後、現職。専門は国際政治学(戦略評価、サイバー安全保障)。最近の著作に、『SNS時代の戦略兵器 陰謀論』(共著、Wedge、2025年1月)、『新領域安全保障』(共著、Wedge、2024年1月)。
野村 侑生
株式会社USEN ICT Solutions
ストラテジスト
東証プライム上場の独立系SIerに新卒で入社、システムエンジニアとして4,000人月を超える医療業界の大規模システム開発案件に参画。その後、医療機器メーカーで新規事業の立ち上げやクリニックの開業支援業務に従事する中で、医療機関で発生したセキュリティインシデントの対応を機にセキュリティ分野に身を投じる。現在は、中央省庁の調査研究業務で事務局を務めた経験を基に、国の動向を見据えたラボの戦略的な企画推進を担っている。
第一部:中小企業が直面するサイバーセキュリティリスクについて(大澤 淳氏)

激増するサイバー攻撃の背景
国立研究開発法人情報通信研究機構が発表している「NICTER観測レポート2024」によると、この10年で1コンピューターあたりが受ける攻撃数は約10倍に増加しました。背景には、ウクライナ情勢や台湾有事への準備、中東紛争といった「サイバー地政学」のリスクがあります。国家間の対立が、その国の代表企業やインフラを担う企業への攻撃へと繋がっているのです。
IPA発表の脅威動向
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表している「情報セキュリティ10大脅威 2026」によると、従来のサプライチェーン経由のリスクに加え、ゼロデイや公開直後の脆弱性を狙った攻撃の脅威が高まっています。あわせて、地政学リスクに起因するサイバー攻撃も増加しています。また、AIの利用をめぐるサイバーリスクが初めてランクインしました。
サイバーセキュリティラボでは、情報セキュリティ10大脅威 2026について解説を行った記事も公開しています。

サイバー攻撃の目的の変容
では、これらの背景や脅威を受けて企業経営で注意すべきところを見ていきましょう。元々サイバー攻撃というのは、金銭目的で行われることがほとんどでしたが、5年程前から、ロシアや中国、北朝鮮などが国の政策ツールとして使うようになってきています。例えば中国は、企業規模にかかわらず先端技術を持っている企業へ攻撃を仕掛け技術獲得を進めようとしています。また、最近では特定の外交政策に対する「報復」として攻撃が活用されるケースもあります。イギリスの Jaguar Land Rover Automotive PLC が受けた攻撃被害は、単なるサイバー攻撃ではなく、イギリス経済全体へのダメージを与える意図があったのではないかとの疑いも持たれています。
サイバー脅威情報が必要な時代の到来
このように、現代のサイバー攻撃は一企業のセキュリティ問題を超え、国際的な地政学リスクと直結しています。技術的な防御策だけでなく、「いま、世界で誰が、何を目的に動いているのか」というサイバー脅威情報を経営判断の材料として取り入れるべき時代が来ています。サイバー脅威情報は以下のレベルに分けて考えることができます。以下はその例です。
レベル | 対象者 | 脅威情報例 |
|---|---|---|
戦略 | 経営者層 | M&Aに関わる情報がサイバー攻撃の標的になっている |
作戦 | マネジメント層 | システムの脆弱性による情報 |
戦術 | 技術者(担当者) | 攻撃に利用されているドメインに関する情報 |
従来、セキュリティは「技術者任せ」になりがちでしたが、それは作戦・戦術レベルの話に過ぎません。「自社が先端技術のサプライチェーンに含まれているか」「重要インフラの一端を担っているか」といった戦略レベルの脅威情報を経営者が把握し、被害を受けた際のダメージ(業務停止期間やコスト)を想定して投資判断を行うことが、現代の経営課題となっています。

第二部:サイバーセキュリティラボが提案する「今日から実践できること」(野村 侑生)
データの裏付けに見る「従来型対策」の限界
警察庁発表の「令和7年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、ランサムウェア被害企業の90%がアンチウイルスソフトを導入していたにもかかわらず、そのうち60%が「検出できなかった」と回答しています。VPNの脆弱性やリモートデスクトップからの侵入が増えており、従来型の「入り口対策」だけでは不十分であることがわかります。

「アカウント流出チェッカー」でまずは現状把握から
しかしながら、特に中小企業においては、予算や人材コストなどの課題からツールの導入には高い障壁があるのも事実です。そこでまず行うべきは、「状況の可視化」です。対策が必要な箇所を洗い出すことが第一歩となります。
サイバーセキュリティラボでは、無償で自社のメールアドレスやパスワードの流出状況を調べることができる「アカウント流出チェッカー」を提供しています。こちらを活用し、自社のリスク状況を理解することから始めましょう。

また、サイバーセキュリティラボでは、インシデントニュースの投稿やセキュリティに関する記事、セミナーを通じてさまざまな情報を提供していますので、あわせて活用することをおすすめしています。


実践的なセキュリティソリューション

USEN ICT Solutionsは法人向けICTソリューション「USEN GATE 02」を提供し、お客様の課題解決をサポートいたします。情報セキュリティサービス全般を取り扱い、各社の導入フェーズに合わせた最適な提案が可能です。何から導入を進めれば良いかわからないという方もお気軽にお問い合わせください。
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